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突然の激痛、その原因は?くも膜下出血と脳動脈瘤

看護師国家試験 第112回 午前 第30問 / 成人看護学 / 脳・神経系

国試問題にチャレンジ

112回 午前 第30問

くも膜下出血(subarachnoid hemorrhage)の成因で最も多いのはどれか。

  1. 1.外傷
  2. 2.脳腫瘍(brain tumor)
  3. 3.脳動脈瘤(cerebral aneurysm)
  4. 4.脳動静脈奇形(cerebral arteriovenous malformation)

対話形式の解説

博士 博士

今日はくも膜下出血を取り上げるぞ。緊急性が高く、国試でも臨床でも頻出じゃ。

アユム アユム

くも膜下出血って、どこで出血が起こるんですか?

博士 博士

脳を覆う髄膜は外側から硬膜・くも膜・軟膜の3層。その中のくも膜と軟膜の間の『くも膜下腔』で出血が起きるのじゃよ。

アユム アユム

原因で最も多いのは?

博士 博士

脳動脈瘤の破裂、全体の約85%を占める。ウィリス動脈輪の分岐部、特に前交通動脈、内頸動脈-後交通動脈分岐部、中大脳動脈分岐部に好発する。

アユム アユム

動脈瘤はなぜできるんですか?

博士 博士

動脈分岐部は血流の負荷が強くかかり、先天的な中膜欠損部が拡張して嚢状になる。喫煙、高血圧、加齢、家族歴がリスク因子じゃ。

アユム アユム

破裂した時の症状は?

博士 博士

突発完成する激しい頭痛、いわゆる『ハンマーで殴られたような頭痛』、悪心・嘔吐、項部硬直、意識障害。これが典型像じゃ。

アユム アユム

診断はどうしますか?

博士 博士

まず頭部CTでくも膜下腔の高吸収域を確認。CTで陰性でも強く疑うなら腰椎穿刺で血性・キサントクロミーの髄液を確認する。動脈瘤の評価はCTAやMRA、カテーテル血管造影で行うのじゃ。

アユム アユム

治療はどうするんですか?

博士 博士

再出血予防のため早期の根治術が原則。開頭クリッピング術(頸部にクリップをかける)か血管内治療のコイル塞栓術(プラチナコイルで塞栓)を選択する。

アユム アユム

合併症は何がありますか?

博士 博士

三大合併症は『再出血・脳血管攣縮・水頭症』じゃ。再出血は発症24時間以内、血管攣縮は4〜14日目、水頭症は亜急性〜慢性期に発生する。

アユム アユム

脳血管攣縮はどう対応するんですか?

博士 博士

Triple H療法(高血圧・循環血液量増加・血液希釈)、オザグレルやファスジルなどの薬物療法、血管内治療などで対処する。近年は正常血圧維持+循環血液量正常化を重視する傾向じゃ。

アユム アユム

看護のポイントは?

博士 博士

再出血予防が最重要。血圧管理(収縮期140 mmHg以下目標が一般的)、安静度遵守、排便コントロールでいきみを避ける、咳嗽や興奮の回避、環境の静穏化。意識レベル、瞳孔、麻痺などの神経症状を継続観察するのじゃ。

アユム アユム

予後は?

博士 博士

死亡率は高く、社会復帰できるのは半数程度。早期発見・早期治療と厳密な全身管理が予後を左右するのう。

アユム アユム

血管一つ一つが命に直結するんですね。

POINT

くも膜下出血の成因として最も多いのは脳動脈瘤の破裂で、全体の約85%を占めます。ウィリス動脈輪の分岐部に好発する嚢状動脈瘤が破綻し、動脈血がくも膜下腔へ流出することで突発完成する激しい頭痛、悪心嘔吐、意識障害、項部硬直を呈します。治療は再出血予防のための早期のクリッピング術またはコイル塞栓術で、三大合併症(再出血・脳血管攣縮・水頭症)の予防と早期発見が予後を大きく左右します。看護師は血圧・安静度管理、いきみや興奮を避ける環境調整、神経学的所見の継続観察を通じて、急性期の命と社会復帰の可能性を支える重要な役割を担います。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:くも膜下出血(subarachnoid hemorrhage)の成因で最も多いのはどれか。

解説:正解は 3 です。非外傷性くも膜下出血の原因で最も多いのは脳動脈瘤の破裂で、全体の約80〜85%を占める。動脈瘤はウィリス動脈輪の分岐部(前交通動脈、内頸動脈-後交通動脈分岐部、中大脳動脈分岐部など)に好発し、破裂により動脈血が一気にくも膜下腔へ流出する。突発完成する激しい頭痛(『ハンマーで殴られたような頭痛』)、悪心嘔吐、項部硬直、意識障害を特徴とし、死亡率が高く再出血予防が急務となる。

選択肢考察

  1. × 1.  外傷

    頭部外傷でもくも膜下出血は生じるが、非外傷性の成因を問う文脈では最多ではない。外傷性は他の頭蓋内出血(硬膜下・硬膜外血腫)や脳挫傷を合併することが多い。

  2. × 2.  脳腫瘍(brain tumor)

    腫瘍内出血や悪性腫瘍の血管侵襲でくも膜下出血が生じることはあるが、全体に占める割合は極めて低い。

  3. 3.  脳動脈瘤(cerebral aneurysm)

    脳動脈瘤破裂が成人の非外傷性くも膜下出血の約85%を占め、最多の成因である。

  4. × 4.  脳動静脈奇形(cerebral arteriovenous malformation)

    AVMはくも膜下出血の原因となりうるが全体の数%程度で、若年者の脳出血・くも膜下出血で念頭に置く疾患ではあるものの最多ではない。

くも膜下出血の重症度はHunt and Hess分類やWFNS分類で評価する。治療は再出血予防のため早期(発症72時間以内)の根治術が原則で、クリッピング術やコイル塞栓術(血管内治療)が選択される。合併症としては再出血(発症24時間以内が多い)、脳血管攣縮(発症4〜14日目、遅発性脳虚血の原因)、正常圧水頭症(亜急性〜慢性期)が三大合併症。看護では血圧管理(収縮期140 mmHg以下目標が一般的)、安静度の遵守、排便・咳嗽・いきみを避ける指導、意識レベルと神経症状の継続観察が重要である。

くも膜下出血の最多の成因は脳動脈瘤破裂(約85%)であることと、三大合併症(再出血・血管攣縮・水頭症)の理解を問う問題。