もやもや病の『もやもや』の正体を探る
看護師国家試験 第113回 午後 第79問 / 成人看護学 / 脳・神経系
国試問題にチャレンジ
もやもや病(moyamoya disease)について正しいのはどれか。
- 1.脳動静脈の奇形である。
- 2.浅側頭動脈の狭窄が原因である。
- 3.代償性の側副血行路が形成される。
- 4.ポリオウイルスの感染が関与する。
- 5.Willis<ウィリス>動脈輪への血栓閉塞で生じる。
対話形式の解説
博士
今日は血管造影の代名詞ともいえるもやもや病を解説するぞ。病名の由来は何じゃったかな?
サクラ
造影像に煙のような血管が写るからでしたよね。
博士
そうじゃ。ウィリス動脈輪、特に内頸動脈の終末部がじわじわと細くなっていくのが本態じゃ。
サクラ
急に詰まる血栓とは違うのですね。
博士
血管内膜が線維性に肥厚して内腔が狭くなる、いわば『血管のリモデリング』による慢性狭窄じゃ。
サクラ
血流が落ちれば脳が困りますが、何かバックアップがあるのですか?
博士
そこが体のすごいところじゃ。レンズ核線条体動脈など細い穿通枝が拡張・増生して代償性の側副血行路を作るんじゃ。
サクラ
その網目状の血管が造影でもやもやと写るのですね。
博士
ただし代償血管は壁が脆いため、成人では破れて脳出血を起こすことがある。
サクラ
小児ではどういった症状が多いのですか?
博士
小児は虚血型で、熱いラーメンをフーフーしたり泣いたりして過呼吸になると、一過性脳虚血発作が起こるのが典型じゃ。
サクラ
過呼吸でCO2が下がって脳血管が収縮すると、ギリギリの血流がさらに減るからですね。
博士
そのとおり。治療は抗血小板薬とバイパス術じゃ。外頸動脈系の浅側頭動脈を中大脳動脈に繋ぐSTA-MCAバイパスが代表的じゃ。
サクラ
浅側頭動脈は選択肢2にありましたが、あれは原因ではなく治療に使う血管だったのですね。
博士
ご明察。もやもや病は指定難病で、家族性発症も知られておる。遺伝子RNF213の関与が報告されておるぞ。
POINT
もやもや病は内頸動脈終末部の慢性進行性狭窄により、脳底部に代償性の側副血行路が網状に形成される疾患です。小児は虚血型、成人は出血型で発症し、治療は抗血小板療法と直接・間接バイパス術が中心となります。看護では過呼吸誘発の予防や術後の血圧管理が重要です。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:もやもや病(moyamoya disease)について正しいのはどれか。
解説:正解は3(代償性の側副血行路が形成される。)です。もやもや病は内頸動脈終末部からウィリス動脈輪にかけての進行性狭窄・閉塞により血流が不足し、それを補うため脳底部に細い側副血管が網状に発達する疾患で、血管造影で『煙のようなもやもや血管』として描出されます。
選択肢考察
-
× 1. 脳動静脈の奇形である。
脳動静脈奇形(AVM)は動脈と静脈が毛細血管を介さず直接吻合する先天性血管異常で、もやもや病とは病態が全く異なります。
-
× 2. 浅側頭動脈の狭窄が原因である。
浅側頭動脈は外頸動脈系で、もやもや病の狭窄部位ではありません。むしろSTA-MCAバイパス術の供血動脈として治療に用いられます。
-
○ 3. 代償性の側副血行路が形成される。
主幹動脈の狭窄で低下した血流を補うため、レンズ核線条体動脈などが拡張・増生し、造影で『もやもや』とした異常血管網が描出されます。
-
× 4. ポリオウイルスの感染が関与する。
もやもや病の原因は未解明ですが、RNF213遺伝子などの関与が示唆されており、ポリオウイルス感染との因果関係はありません。
-
× 5. Willis<ウィリス>動脈輪への血栓閉塞で生じる。
塞栓子や血栓による急性閉塞ではなく、内膜の線維性肥厚による慢性進行性の狭窄・閉塞が本態です。
もやもや病は日本人に多く、小児期は虚血型(過呼吸による泣き入り発作で一過性脳虚血)、成人期は出血型(脆弱な側副血管の破綻による脳出血)を呈する二峰性分布が特徴です。治療は抗血小板療法のほか、STA-MCAバイパスや脳表血管誘導術(EDAS、EDMS)など直接・間接血行再建術が選択されます。指定難病に認定されています。
もやもや病の本態(内頸動脈終末部の進行性狭窄と側副血行路形成)を、血栓塞栓や動静脈奇形と区別できるかを問う設問です。
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