肝硬変の検査所見を肝機能から考える
看護師国家試験 第103回 午後 第84問 / 成人看護学 / 消化器・栄養代謝系
国試問題にチャレンジ
肝硬変(cirrhosis)でみられる検査所見はどれか。2つ選べ。
- 1.血小板増多
- 2.尿酸値上昇
- 3.血清アルブミン値低下
- 4.血中アンモニア値上昇
- 5.プロトロンビン時間短縮
対話形式の解説
博士
肝硬変では肝臓の働きが落ちると様々な検査値が変動するぞ。肝臓の主な機能を3つ言えるかな。
アユム
代謝、解毒、胆汁の生成ですよね。あと血液の貯蔵もあります。
博士
正解。代謝の中でもアルブミンや凝固因子の合成、解毒ではアンモニアを尿素に変える尿素回路が重要じゃ。
アユム
この問題で正しい選択肢はどれですか。
博士
正解は3の血清アルブミン値低下と4の血中アンモニア値上昇じゃ。
アユム
アルブミンが下がる仕組みは。
博士
アルブミンは肝臓で合成される代表的な血漿蛋白じゃから、肝機能が落ちると産生が減って低アルブミン血症となる。これが浮腫や腹水の原因じゃ。
アユム
アンモニアが上がるのはなぜですか。
博士
腸内細菌が産生するアンモニアは肝臓の尿素回路で尿素に変換され尿中排泄される。肝硬変ではこの解毒ができなくなり血中アンモニアが上昇し、肝性脳症の原因になるんじゃ。
アユム
選択肢1の血小板増多はどうですか。
博士
門脈圧亢進で脾腫が起こり、脾機能亢進により血小板はむしろ減少する。さらに肝臓由来のトロンボポエチンも減るからのぅ。
アユム
プロトロンビン時間も延長するんですよね。
博士
その通り。凝固因子の多くは肝臓で合成されるから、肝硬変では合成が低下しPT延長、出血傾向となる。
アユム
尿酸値も特に上がらないんですね。
博士
そうじゃ。肝硬変の特徴的所見ではない。むしろ低下傾向じゃ。
アユム
肝機能から考えると検査値の変化が予測できますね。
POINT
肝硬変では肝細胞の線維化により合成能・解毒能が低下します。アルブミン産生低下による血清アルブミン値低下、尿素回路機能低下による血中アンモニア値上昇が典型所見です。凝固因子合成低下でPTは延長、脾機能亢進で血小板は減少します。肝機能と各検査値の関係を理解することが重要です。
解答・解説
正解は 3 ・ 4 です
問題文:肝硬変(cirrhosis)でみられる検査所見はどれか。2つ選べ。
解説:正解は 3 と 4 です。肝硬変では肝細胞の線維化により肝機能が低下し、アルブミンや凝固因子の合成が減少し、解毒機能も低下します。その結果、血清アルブミン値は低下し、本来肝臓で尿素に変換されるアンモニアは血中に蓄積して上昇します。これは肝性脳症の原因となります。
選択肢考察
-
× 1. 血小板増多
門脈圧亢進による脾腫・脾機能亢進と、肝臓で産生されるトロンボポエチンの低下により、血小板はむしろ減少します。
-
× 2. 尿酸値上昇
肝硬変は尿酸値上昇の典型的所見ではありません。肝臓のプリン体代謝低下により尿酸値はむしろ低下する傾向があります。
-
○ 3. 血清アルブミン値低下
アルブミンは肝臓で合成される蛋白で、肝機能低下により産生が減少し、低アルブミン血症となります。腹水や浮腫の原因となります。
-
○ 4. 血中アンモニア値上昇
肝臓の尿素回路が機能低下するためアンモニアを尿素に変換できず、血中に蓄積し、肝性脳症を引き起こします。
-
× 5. プロトロンビン時間短縮
凝固因子の多くは肝臓で合成されるため、肝硬変では合成が低下し、プロトロンビン時間は延長します。出血傾向に注意が必要です。
肝硬変の症状は『肝機能低下症状(黄疸・腹水・浮腫・出血傾向・女性化乳房・くも状血管腫・手掌紅斑)』と『門脈圧亢進症状(食道静脈瘤・脾腫・メデューサの頭・痔静脈瘤)』の2系統で整理すると理解しやすいです。重症度評価にはChild-Pugh分類が用いられます。
肝硬変における肝機能低下による検査所見の変化(合成能・解毒能の低下)を理解しているかを問う問題です。
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