食道静脈瘤破裂後の食事指導
看護師国家試験 第103回 午前 第87問 / 成人看護学 / 消化器・栄養代謝系
国試問題にチャレンジ
Aさん(43歳、女性)は、吐血のため救急搬送され、食道静脈瘤破裂(rupture of esophageal varices)に対して緊急止血術が行われた。腹水は少量認められるが、経過は良好で近日中に退院を予定している。Aさんは5年前に肝硬変(cirrhosis)と診断されている。 Aさんへの食事指導で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 1.高蛋白食とする。
- 2.塩分は制限しない。
- 3.食物繊維を控える。
- 4.固い食品を控える。
- 5.辛い香辛料を控える。
対話形式の解説
博士
今日はAさんの事例を見るぞ。43歳女性、肝硬変が背景にあって食道静脈瘤破裂で緊急止血術を受けた。退院前の食事指導が問われとる。
サクラ
博士、止血術後はまず創部の安静が大事ですよね。
博士
その通り。止血した静脈瘤はしばらく脆弱で、機械的・化学的刺激があると再破裂しかねん。だから固い食品と辛い香辛料は避けるんじゃ。
サクラ
選択肢4の固い食品を控えるは正解ですね。煎餅や揚げ物のクラスト、骨付き肉などですか?
博士
そうじゃ。よく噛んでも食道を傷つける可能性があるからの。
サクラ
5番の辛い香辛料も同じ理由ですね。
博士
唐辛子などは粘膜の化学的刺激となり再出血を招く。アルコールや熱すぎる飲食物、炭酸飲料も避けるよう指導するとよいぞ。
サクラ
1番の高蛋白食はどうですか?昔は推奨されていたと聞きますが…
博士
かつては高蛋白食が推奨されたが、今は否定されておる。肝硬変では蛋白代謝物のアンモニアが解毒されず、肝性脳症を誘発する。BCAA製剤や植物性蛋白の活用が推奨される。
サクラ
2番の塩分制限なしは?
博士
Aさんには腹水が少量あるんじゃ。塩分は腹水・浮腫を悪化させるから5〜7g/日に制限する必要がある。だから誤りじゃな。
サクラ
3番の食物繊維を控えるは?
博士
これも誤りじゃ。便秘は腸内アンモニアの吸収を増やして肝性脳症を誘発する。むしろ食物繊維は積極的に摂取し、ラクツロースも併用して便通を整える。
サクラ
食道静脈瘤と肝硬変、両方の管理が必要なんですね。
博士
そう、術後はやわらかく刺激の少ない食事、肝硬変としては減塩・適度な蛋白・食物繊維。さらにLES(夜食)でアミノ酸補給するのも有効じゃ。
POINT
食道静脈瘤破裂止血術後は創部への刺激を避けるため、固い食品と辛い香辛料を控えます。肝硬変では塩分制限と便秘予防が重要で、食物繊維は積極的摂取を勧めます。高蛋白食は肝性脳症リスクから推奨されず、現在は適正量の蛋白とBCAA補給が標準的です。
解答・解説
正解は 4 ・ 5 です
問題文:Aさん(43歳、女性)は、吐血のため救急搬送され、食道静脈瘤破裂(rupture of esophageal varices)に対して緊急止血術が行われた。腹水は少量認められるが、経過は良好で近日中に退院を予定している。Aさんは5年前に肝硬変(cirrhosis)と診断されている。 Aさんへの食事指導で正しいのはどれか。2つ選べ。
解説:正解は 4 と 5 です。Aさんは肝硬変による食道静脈瘤破裂後で、止血術を受けた創部はまだ脆弱です。固い食品や辛い香辛料は機械的・化学的刺激となり、再破裂のリスクを高めるため控える必要があります。肝硬変患者では塩分制限と便秘予防(食物繊維摂取)も重要であり、蛋白制限は肝性脳症のリスクに応じて段階的に検討します。
選択肢考察
-
× 1. 高蛋白食とする。
肝硬変では過剰な蛋白摂取がアンモニア上昇から肝性脳症を誘発するリスクがあるため、高蛋白食は推奨されません。
-
× 2. 塩分は制限しない。
腹水を認める肝硬変では塩分制限(5〜7g/日)が必須です。塩分摂取が腹水・浮腫を悪化させます。
-
× 3. 食物繊維を控える。
便秘は腸管からのアンモニア吸収を増やし肝性脳症を誘発するため、食物繊維はむしろ積極的に摂取すべきです。
-
○ 4. 固い食品を控える。
煎餅・揚げ物・骨付き肉などの固い食品は止血術後の脆弱な静脈瘤を物理的に刺激し、再破裂を招くため控える必要があります。
-
○ 5. 辛い香辛料を控える。
唐辛子などの香辛料は粘膜への化学的刺激となり、再出血のリスクを高めるため控えるよう指導します。
食道静脈瘤破裂後の食事は「やわらかく・温度に注意・刺激物を避ける」が基本です。熱すぎる飲食物、アルコール、炭酸飲料、強い酸味も避けます。肝硬変患者では分割食(少量頻回食)や夜食(LES)でアミノ酸不足を補うことも有効です。便通管理にはラクツロースを併用し、アンモニア生成を抑えます。
食道静脈瘤破裂止血術後の食事指導として、創部への機械的・化学的刺激を避ける視点と、肝硬変の食事管理を統合できるかを問う問題です。
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