胆石が出口でハマる!嵌頓という病態を理解する
看護師国家試験 第107回 午前 第70問 / 成人看護学 / 消化器・栄養代謝系
国試問題にチャレンジ
腹部CTを下に示す。胆石が半年間で胆囊内をAからCまで移動した。 Cの状態を表すのはどれか。
- 1.嵌頓
- 2.侵入
- 3.転位
- 4.停留
- 5.迷入
対話形式の解説
博士
CT画像で胆石が胆囊の底部から出口付近に移動して、胆囊が大きく膨らんでおるな。この状態を何と呼ぶんじゃ?
アユム
嵌頓です。出口にはまり込んで動けなくなった状態ですね。
博士
その通り。嵌頓が起こると何が問題じゃ?
アユム
胆汁が胆囊から出られなくなり、胆囊内圧が上昇して強い腹痛が起こります。細菌感染を合併すると急性胆囊炎になります。
博士
胆石発作の症状を言えるかの?
アユム
右季肋部痛、心窩部痛、悪心・嘔吐、食後特に脂っこい食事後に誘発されやすいです。
博士
なぜ脂っこい食事で誘発されるんじゃ?
アユム
脂肪摂取でコレシストキニンが分泌され胆囊が収縮するため、結石が出口に押し寄せて嵌頓が起こりやすくなります。
博士
急性胆囊炎の身体所見として有名なものは?
アユム
Murphy徴候です。右季肋部を圧迫しながら深呼吸させると痛みで呼吸が止まる所見です。
博士
胆石が総胆管まで落下して嵌頓するとどうなる?
アユム
閉塞性黄疸が出現し、上行性胆管炎を合併するとCharcotの三徴(発熱・黄疸・右季肋部痛)、さらにショックと意識障害が加わるとReynoldsの五徴になります。
博士
胆石性膵炎はなぜ起こる?
アユム
胆石がVater乳頭部で嵌頓し、膵管からの膵液流出も障害されて自己消化が起こるためです。
博士
嵌頓以外の選択肢の用語も確認しておこう。侵入は?
アユム
外から内へ強引に入ることです。腫瘍細胞の浸潤などに使います。
博士
転位は?
アユム
骨折した骨片の位置ずれや、腫瘍の転位など、位置が変わることを指します。
博士
停留は?
アユム
その場にとどまることです。停留精巣のように先天性の位置異常で使われます。
博士
迷入は?
アユム
本来あるべき部位以外に組織や臓器の一部が存在する状態です。迷入膵などが例ですね。
博士
胆石症の治療は?
アユム
無症状ならfollow、症状があれば腹腔鏡下胆囊摘出術が標準です。総胆管結石はERCPでの内視鏡的砕石・採石を併用します。
博士
胆石の種類も整理しておくかの?
アユム
コレステロール結石が最多で、ビリルビンカルシウム結石、黒色石の3種に分類されます。
POINT
胆石が胆囊管や総胆管入口部にはまり込んで動けなくなった状態が嵌頓です。胆汁流出障害により胆石発作、急性胆囊炎、閉塞性黄疸、胆管炎、胆石性膵炎などを引き起こします。医学用語としての嵌頓・侵入・転位・停留・迷入の使い分けを正確に理解し、画像所見と病態を結びつけて判断することが解答のポイントです。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:腹部CTを下に示す。胆石が半年間で胆囊内をAからCまで移動した。 Cの状態を表すのはどれか。
解説:正解は1です。CT画像で胆石が胆囊底部(A)から頸部・胆囊管付近(C)へ移動し、胆囊管を塞いで胆囊が拡張している状態は「嵌頓(かんとん)」に相当します。胆石が胆囊管入口部にはまり込んで動かなくなり、胆汁流出が途絶することで胆囊内圧が急上昇し、激しい腹痛(胆石発作)や急性胆囊炎を引き起こします。
選択肢考察
-
○ 1. 嵌頓
嵌頓とは物体が出口や狭い部位にはまり込んで動かなくなる状態を指します。胆石が胆囊管や総胆管の入口に引っかかり胆汁流出を遮断することで胆石発作や急性胆囊炎、総胆管結石性胆管炎を引き起こす原因となります。
-
× 2. 侵入
侵入は外部から内部へ入り込む動作を表します。胆石は胆囊内で形成され胆囊内を移動しているだけで、外部から侵入したわけではないため不適切です。
-
× 3. 転位
転位は骨折した骨片の位置ずれや臓器の位置異常を表す用語で、胆石が出口で動かなくなった状態を表現する語ではありません。
-
× 4. 停留
停留は同じ場所にとどまる状態を示す一般的な用語ですが、出口をふさいで通過障害を起こしている病態を表現する専門用語としては適切ではありません。停留精巣のように先天性の位置異常に用います。
-
× 5. 迷入
迷入は組織や臓器の一部が本来の位置とは異なる場所に存在することを指します(例:膵組織の胃壁への迷入)。胆石が胆囊内を移動した状態には該当しません。
胆石症の症状は結石の位置によって異なります。胆囊底部に静止していれば無症状(silent stone)のことが多く、胆囊管への嵌頓で胆石発作(右季肋部痛)、胆囊炎を発症します。総胆管に落下して嵌頓すると閉塞性黄疸や胆管炎、さらに膵管開口部付近なら胆石性膵炎を起こし得ます。Murphy徴候やCharcotの三徴(発熱・黄疸・右季肋部痛)が診断の手がかりです。
胆石の移動と病態を表す医学用語(嵌頓)の意味を正しく理解できているかを問う問題です。
「消化器・栄養代謝系」の関連記事
-
ピロリ菌はどこに住み、どう胃酸から身を守るのか
ピロリ菌の生息部位、生存戦略、診断・除菌判定のタイミングを総合的に問う問題。ウレアーゼを起点に各選択肢を理解…
114回
-
ストーマ周囲のスキンケア基本 ―装具を外して泡で洗うが正解
ストーマ周囲皮膚の清潔ケアの原則を問う基本問題。「装具を外して泡石けんで洗い、消毒や熱風乾燥はしない」という…
114回
-
超音波ガイド下肝生検——「息止め」がなぜ重要か
超音波ガイド下肝生検における前処置・体位・検査中の協力・検査後安静の4点を統合的に問う問題。出血合併症のリスク…
114回
-
飲酒中の上腹部痛+嘔吐——疑うべき疾患と優先検査
アルコール多飲中に発症した上腹部〜背部痛+嘔吐から急性膵炎を想起し、診断に最も有用な血液検査項目を選ぶ問題。…
114回
-
肝臓のがんは沈黙の殺し屋?肝細胞癌の正体に迫る
肝細胞癌は原発性肝癌の最多であり、エコーで発見されることを押さえる。腫瘍マーカーAFP・PIVKA-IIと、CEA(消化管…
114回