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成人鼠径ヘルニアの分類と特徴

看護師国家試験 第108回 午前 第27問 / 成人看護学 / 消化器・栄養代謝系

国試問題にチャレンジ

108回 午前 第27問

成人の鼠径ヘルニア(inguinal hernia)で正しいのはどれか。

  1. 1.内鼠径ヘルニア(internal inguinal hernia)と外鼠径ヘルニア(external inguinal hernia)に分けられる。
  2. 2.患者の男女比は約1:3である。
  3. 3.やせている人に多い。
  4. 4.保存的治療を行う。

対話形式の解説

博士 博士

今日は鼠径ヘルニアの話じゃ。いわゆる脱腸じゃが、成人の鼠径ヘルニアで正しいのはどれかという問題じゃな。

サクラ サクラ

聞いたことはありますが、分類までは詳しくないです。

博士 博士

正解は1の内鼠径ヘルニアと外鼠径ヘルニアに分けられるじゃ。分類のキーは下腹壁動静脈との位置関係じゃよ。

サクラ サクラ

どう違うんですか?

博士 博士

外鼠径ヘルニアは下腹壁動静脈の外側、つまり内鼠径輪から鼠径管を通って脱出するタイプで、先天的要因が多く若年〜中年に見られる。内鼠径ヘルニアは下腹壁動静脈の内側、Hesselbach三角の腹壁脆弱部から直接脱出するタイプで、中高年男性に多いんじゃ。

サクラ サクラ

なるほど、解剖学的に分かれるんですね。2の男女比1:3はどうですか?

博士 博士

逆で、男性のほうが圧倒的に多い。男女比は5〜8:1と言われる。男性は精索が通る鼠径管があり、構造的に脱出しやすいんじゃ。

サクラ サクラ

女性で多いヘルニアもありますか?

博士 博士

女性では相対的に大腿ヘルニアが多い。大腿輪から脱出して嵌頓しやすいのが特徴じゃ。

サクラ サクラ

3のやせている人に多いは?

博士 博士

これも逆じゃな。肥満、慢性咳嗽、便秘、前立腺肥大、重労働など腹圧がかかる人ほどリスクが高い。

サクラ サクラ

4の保存的治療を行うは?

博士 博士

鼠径ヘルニアは自然に治らず進行性じゃ。嵌頓すると腸管壊死のリスクもあるから、成人では原則手術治療じゃよ。

サクラ サクラ

どんな手術がありますか?

博士 博士

鼠径部切開によるLichtenstein法のメッシュ法や、腹腔鏡下のTAPP法・TEP法などがある。いずれもメッシュで腹壁を補強するんじゃ。

サクラ サクラ

術後合併症は?

博士 博士

漿液腫、創感染、慢性鼠径部痛、再発、精索血管損傷による睾丸萎縮などに注意する。

サクラ サクラ

嵌頓ヘルニアは緊急ですよね?

博士 博士

そう、腸管の血流が途絶えて壊死するリスクがあるから緊急手術の適応じゃ。疼痛、発赤、還納不能などがサインじゃ。

POINT

成人鼠径ヘルニアは下腹壁動静脈との位置関係で内鼠径ヘルニアと外鼠径ヘルニアに分類されます。外鼠径ヘルニアは鼠径管を通って脱出し若年〜中年に多く、内鼠径ヘルニアはHesselbach三角から直接脱出し中高年男性に多いです。男女比は5〜8:1で男性に多く、肥満や腹圧上昇がリスクです。自然治癒せず進行性で嵌頓リスクがあるため原則手術治療で、Lichtenstein法や腹腔鏡下TAPP・TEP法などのメッシュ法が用いられます。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:成人の鼠径ヘルニア(inguinal hernia)で正しいのはどれか。

解説:正解は 1 です。成人の鼠径ヘルニアは解剖学的に内鼠径ヘルニアと外鼠径ヘルニアに分類されます。外鼠径ヘルニアは内鼠径輪から鼠径管を通って脱出するタイプで先天的要因が多く若年〜中年に、内鼠径ヘルニアはHesselbach三角(内鼠径輪より内側)の腹壁脆弱部から直接脱出するタイプで中高年男性に多くみられます。下腹壁動静脈との位置関係で鑑別します。

選択肢考察

  1. 1.  内鼠径ヘルニア(internal inguinal hernia)と外鼠径ヘルニア(external inguinal hernia)に分けられる。

    下腹壁動静脈より内側から脱出するものを内鼠径ヘルニア、外側から脱出するものを外鼠径ヘルニアと分類します。

  2. × 2.  患者の男女比は約1:3である。

    実際は男性が圧倒的に多く、男女比はおよそ5〜8:1です。男性は精索が通る鼠径管の構造上、解剖学的に脱出しやすいのです。

  3. × 3.  やせている人に多い。

    肥満、慢性咳嗽、便秘、前立腺肥大、重労働などで腹圧が持続的にかかる人にリスクが高く、やせ型に特有の疾患ではありません。

  4. × 4.  保存的治療を行う。

    鼠径ヘルニアは自然治癒せず進行性で嵌頓のリスクもあるため、成人では原則手術治療(メッシュ法などの鼠径ヘルニア根治術)が選択されます。

手術法は鼠径部切開によるLichtenstein法(tension-freeメッシュ法)や腹腔鏡下TAPP・TEP法などがあります。嵌頓ヘルニアは腸管壊死のリスクがあり緊急手術の適応です。術後合併症として漿液腫、創感染、慢性鼠径部痛、再発、精索血管損傷による睾丸萎縮などに注意します。女性では大腿ヘルニアが相対的に多くみられます。

成人鼠径ヘルニアの分類・疫学・治療の基本知識を問う問題です。