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胸やけの正体はLESの緩み GERDの病態と生活指導

看護師国家試験 第109回 午後 第88問 / 成人看護学 / 消化器・栄養代謝系

国試問題にチャレンジ

109回 午後 第88問

胃食道逆流症( gastroesophageal reflux disease )で正しいのはどれか。2 つ選べ。

  1. 1.青年期に多い。
  2. 2.高脂肪食の摂取を勧める。
  3. 3.食後は左側臥位で休息する。
  4. 4.下部食道括約筋の弛緩が関与する。
  5. 5.H 2 受容体拮抗薬によって自覚症状が緩和する。

対話形式の解説

博士 博士

今日は胃食道逆流症、GERDについて徹底解説するぞ。

アユム アユム

胸やけする病気ですよね。原因は?

博士 博士

食道と胃の境目にある下部食道括約筋、LESが一過性に緩んだり圧が低下したりして、胃酸や胃内容が食道へ逆流するのが核心じゃ。

アユム アユム

LESは普段どうやって逆流を防いでいるんですか?

博士 博士

内圧15〜30mmHg程度で閉じており、嚥下時だけ一時的に開く。加齢、食道裂孔ヘルニア、肥満、妊娠、高脂肪食などでこの圧が下がる。

アユム アユム

だから選択肢4は正解ですね。

博士 博士

うむ。では治療薬は?

アユム アユム

プロトンポンプ阻害薬が第一選択と聞きました。

博士 博士

正解。加えてH2受容体拮抗薬(ファモチジンなど)も胃壁細胞のH2受容体を遮断して酸分泌を抑え、自覚症状を緩和する。選択肢5も正解じゃ。

アユム アユム

最近はP-CABという新しい薬もありますよね。

博士 博士

ボノプラザンじゃな。酸によらず作用し、夜間酸分泌もよく抑える。

アユム アユム

生活指導はどうすればいいですか?

博士 博士

高脂肪食や刺激物、アルコール、炭酸、チョコ、コーヒー、柑橘類はLES圧を下げるので控える。選択肢2は誤り。

アユム アユム

食後はすぐ横になっていいんですか?

博士 博士

ダメじゃ。食後1〜2時間は上半身を挙上して過ごす。寝るときは左側臥位の方が右側より逆流は少ないとされるが、食直後の臥位そのものを避けるのが原則。選択肢3は勧めにくい。

アユム アユム

青年期に多いんですか?

博士 博士

違う。乳児には生理的逆流があるが、GERDとしての臨床問題は中高年に多い。選択肢1も誤り。

アユム アユム

他に注意することは?

博士 博士

前かがみ、重い物運搬、腹部を締める衣服は避ける。長期GERDはバレット食道や食道腺癌のリスクを高めるので、症状が続くなら内視鏡検査を勧める。

アユム アユム

薬だけでなく生活全体を見直す疾患なんですね。

POINT

胃食道逆流症は下部食道括約筋の弛緩・圧低下によって胃酸や胆汁を含む胃内容が食道に逆流し、胸やけや呑酸、食道炎を起こす疾患です。治療はプロトンポンプ阻害薬やP-CABが第一選択ですが、H2受容体拮抗薬も胃酸分泌を抑えて自覚症状を軽減します。生活指導は高脂肪食・刺激物・アルコールの制限、食後の臥位回避、頭側挙上、減量、禁煙、前かがみや腹部圧迫衣服を避けることが柱です。長期化するとバレット食道から食道腺癌に進行するリスクがあり、看護師は薬物療法アドヒアランスと生活習慣改善の両面から支援する必要があります。

解答・解説

正解は 4 5 です

問題文:胃食道逆流症( gastroesophageal reflux disease )で正しいのはどれか。2 つ選べ。

解説:正解は 4 と 5 です。胃食道逆流症(GERD)は、下部食道括約筋(LES)の弛緩・機能低下により胃内容が食道に逆流し、胸やけや呑酸、食道炎を起こす疾患です。加齢や食道裂孔ヘルニア、肥満、妊娠などでLES圧が低下することが主な病態です。治療にはプロトンポンプ阻害薬(PPI)が第一選択ですが、H2受容体拮抗薬も胃酸分泌を抑制して自覚症状を緩和します。

選択肢考察

  1. × 1.  青年期に多い。

    GERDは加齢によるLES機能低下や食道裂孔ヘルニア合併が背景で、中高年に多い。乳児の生理的逆流もあるが、臨床的には中高年の代表的疾患。

  2. × 2.  高脂肪食の摂取を勧める。

    高脂肪食はコレシストキニン分泌を介してLES圧を低下させ、胃排出も遅延させるため症状を悪化させる。食事指導では控えるよう伝える。

  3. × 3.  食後は左側臥位で休息する。

    食後1〜2時間は横にならず上半身を挙上する姿勢が基本。臥位で休む場合は左側臥位が右側より逆流は少ないとされるが、食直後の臥位自体を避けるのが原則で勧められない。

  4. 4.  下部食道括約筋の弛緩が関与する。

    LESの一過性弛緩や圧低下により胃内容が食道に逆流するのがGERDの中核病態。

  5. 5.  H 2 受容体拮抗薬によって自覚症状が緩和する。

    H2ブロッカーは胃壁細胞のヒスタミンH2受容体を遮断し胃酸分泌を抑えることで、胸やけや呑酸を軽減する。

診断は症状とPPIテスト、上部消化管内視鏡で評価する。生活指導は(1)禁煙、(2)節酒、(3)減量、(4)高脂肪食・チョコレート・コーヒー・炭酸・柑橘類・香辛料を控える、(5)就寝前3時間は飲食しない、(6)寝る時は頭側挙上、(7)前かがみや腹部圧迫衣服を避ける、などが柱。薬物療法はPPI/P-CABが第一選択、難治例では消化管運動機能改善薬や外噴門形成術(ニッセン術式)も検討する。GERDは長期でバレット食道や食道腺癌のリスクを高める点も臨床的に重要。

GERDの病態(LES弛緩)・症状緩和薬(H2拮抗薬/PPI)・生活指導のポイントを総合的に押さえる問題。