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急性膵炎は『飲みすぎた翌朝の背中までくる痛み』 重症度は造影CTで決める

看護師国家試験 第109回 午前 第84問 / 成人看護学 / 消化器・栄養代謝系

国試問題にチャレンジ

109回 午前 第84問

急性膵炎( acute pancreatitis )で正しいのはどれか。2 つ選べ。

  1. 1.成因はアルコール性より胆石性が多い。
  2. 2.重症度判定には造影 CT が重要である。
  3. 3.血中アミラーゼ値が低下する。
  4. 4.鎮痛薬の投与は禁忌である。
  5. 5.初発症状は上腹部痛である。

対話形式の解説

博士 博士

今回は急性膵炎を扱うぞ。

アユム アユム

お酒をたくさん飲んで激しい上腹部痛で救急搬送、というイメージです。

博士 博士

まさにその通り。日本ではアルコール性が最多で約30〜40%、次いで胆石性。男性はアルコール、女性は胆石が多い傾向じゃ。

アユム アユム

選択肢1の『胆石性が多い』は違うんですね。

博士 博士

日本では逆。ただし欧米では胆石性が最多という違いがある。国による差は押さえておくとよい。

アユム アユム

症状は?

博士 博士

初発症状は持続する上腹部痛で、背部への放散痛を伴うことが多い。前屈位でやわらぎ仰臥位で増悪するのが特徴で、『膵痛』とも呼ばれる。悪心嘔吐、発熱、重症化するとショックや意識障害も。

アユム アユム

診断はどうやるんですか?

博士 博士

診断基準は(1)急性腹痛、(2)血中・尿中膵酵素上昇(アミラーゼ・リパーゼ)、(3)画像所見、のうち2項目以上。選択肢3の『血中アミラーゼ値が低下』は逆じゃな。

アユム アユム

重症度判定はどうしますか?

博士 博士

予後因子9項目とCT Grade(造影CTで膵外進展度を評価)の組み合わせじゃ。造影CTで膵の造影不良域が見えれば膵壊死を示唆し、重症度が高い。選択肢2が正解の理由じゃな。

アユム アユム

治療は?

博士 博士

三本柱は『大量輸液』『疼痛コントロール』『絶飲食による膵安静』。加えて重症例では蛋白分解酵素阻害薬、抗菌薬、必要に応じて持続動注療法や血液浄化も行う。

アユム アユム

選択肢4の『鎮痛薬禁忌』は違うんですよね。

博士 博士

違う。強い痛みは患者に大きな苦痛とストレスを与えるため、NSAIDsや麻薬系鎮痛薬を積極的に使う。かつてはモルヒネがOddi括約筋収縮で禁忌といわれたが、現在は慎重使用で許容される傾向じゃ。

アユム アユム

胆石性の場合は違う治療がありますか?

博士 博士

胆管炎合併や総胆管結石嵌頓があれば早期ERCPで乳頭切開・砕石を行う。胆石性膵炎の再発予防には退院前後の胆嚢摘出術も推奨される。

アユム アユム

重症化の合併症は?

博士 博士

ARDS、急性腎障害、DIC、感染性膵壊死、仮性嚢胞など多臓器不全に進展し得る。発症48〜72時間の輸液管理が予後を左右するぞ。

アユム アユム

看護で注意する点は?

博士 博士

バイタルと尿量、疼痛評価、腹部症状の変化、絶飲食下の口腔ケア、そして家族への病状説明。SIRSから多臓器不全への進展を早く気付くのが鍵じゃ。

POINT

急性膵炎は膵酵素の膵内活性化による自己消化で起こる急性炎症で、初発症状は持続する上腹部痛・背部放散痛です。日本ではアルコール性が最多(男性に多い)、胆石性が次点(女性に多い)で、血中・尿中アミラーゼ・リパーゼの上昇と造影CTによる膵外進展度評価で診断・重症度判定を行います。治療は大量輸液、十分な鎮痛、絶飲食による膵安静が三本柱で、重症例では蛋白分解酵素阻害薬、抗菌薬、血液浄化などが追加されます。合併症としてARDS・AKI・DIC・感染性膵壊死が重要で、看護ではバイタル・疼痛・腹部所見のきめ細かい観察と48〜72時間の輸液管理支援が予後を大きく左右します。

解答・解説

正解は 2 5 です

問題文:急性膵炎( acute pancreatitis )で正しいのはどれか。2 つ選べ。

解説:正解は 2 と 5 です。急性膵炎は膵酵素(主にトリプシン)の膵内活性化による自己消化で起こる急性炎症で、初発症状は持続する上腹部痛(背部放散痛を伴うことが多い)である。重症度判定は予後因子(9項目)と造影CT Grade(CT Grade 1〜3)を組み合わせて行い、造影CTによる膵外進展度や膵壊死の評価は重症度判定と治療方針決定に必須である。

選択肢考察

  1. × 1.  成因はアルコール性より胆石性が多い。

    日本ではアルコール性が最多(約30〜40%)、次いで胆石性(約25〜30%)、特発性の順。男性はアルコール性、女性は胆石性が多い傾向。欧米では胆石性が最多。

  2. 2.  重症度判定には造影 CT が重要である。

    造影CTで膵外進展度や膵壊死の有無を評価し、CT Gradeを決定する。膵造影不良域(壊死)は重症化の指標で、感染性膵壊死は高死亡率となるため早期評価が重要。

  3. × 3.  血中アミラーゼ値が低下する。

    急性膵炎では血中・尿中アミラーゼ、リパーゼが上昇する。特にリパーゼは特異性が高い。ただし重症例や経過が長い例ではアミラーゼが正常化することもあり、リパーゼやCRP、CTによる総合評価が必要。

  4. × 4.  鎮痛薬の投与は禁忌である。

    強い上腹部痛が主症状のため、十分な鎮痛(NSAIDs、ブプレノルフィン、ペンタゾシンなど)は治療の柱の一つ。モルヒネはOddi括約筋収縮の懸念から慎重に使うが、近年は忌避されない傾向。

  5. 5.  初発症状は上腹部痛である。

    持続する上腹部痛(心窩部〜左季肋部)で発症し、背部への放散痛を伴うことが多い。前屈位で軽減、仰臥位で増悪する特徴(膵痛)があり、悪心・嘔吐、発熱を伴う。

急性膵炎の三大治療は『十分な初期輸液』『疼痛コントロール』『絶飲食+膵安静』。重症例では多臓器不全(ARDS、AKI、DIC)、感染性膵壊死、仮性嚢胞などを合併する。診断基準は(1)上腹部に急性腹痛、(2)血中・尿中膵酵素上昇、(3)画像所見のうち2項目以上。胆石性膵炎で胆管炎合併や総胆管結石嵌頓がある場合は早期ERCPによる乳頭切開・砕石が必要。蛋白分解酵素阻害薬(メシル酸ガベキサート、ナファモスタット)や抗菌薬の使用は重症例で検討。看護では輸液管理、疼痛評価、バイタル変化(SIRS→MODSの早期察知)、絶飲食下の口腔ケアが重要。

急性膵炎の成因・症状・診断・重症度判定の基本を問う問題。初期の上腹部痛、血中膵酵素上昇、造影CTによる重症度評価、輸液と鎮痛を柱とする治療というストーリーで押さえる。