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直接ビリルビン優位の黄疸で疑うべきは?閉塞性黄疸の見抜き方

看護師国家試験 第109回 午後 第94問 / 成人看護学 / 消化器・栄養代謝系

国試問題にチャレンジ

109回 午後 第94問

次の文を読み以下の問いに答えよ。 Aさん( 56 歳、女性、会社員)は、夕食の 1 時間後から腹痛・嘔吐が出現し救急外来を受診した。2 か月前から自然に消失する右季肋部痛を繰り返していた。 身体所見:身長 155 cm、体重 82 kg。体温 38.2 ℃、呼吸数 16 /分、脈拍 110 /分、血圧 126 / 70 mmHg。眼球結膜に黄染あり。右季肋部に圧痛あり。意識清明。 検査所見:白血球 14,960 /μL、Hb 12.8 g /dL。総ビリルビン 8.7 mg /dL、直接ビリルビン 7.2 mg /dL、アミラーゼ 121 IU/L、リパーゼ 45 IU/L、尿素窒素 18.9 mg /dL、血清クレアチニン 0.98 mg /dL。CRP 9.2 mg /dL。 腹部超音波検査所見:胆囊壁の肥厚、胆囊の腫大、総胆管の拡張、総胆管結石を認めた。 Aさんの病態で正しいのはどれか。

  1. 1.急性胃炎( acute gastritis )
  2. 2.急性腎不全( acute renal failure )
  3. 3.閉塞性黄疸( obstructive jaundice )
  4. 4.溶血性貧血( hemolytic anemia )

対話形式の解説

博士 博士

今日はAさん56歳の症例じゃ。夕食後の腹痛・嘔吐、2か月前から繰り返す右季肋部痛、眼球結膜黄染、総ビリルビン8.7mg/dL、直接ビリルビン7.2mg/dL、総胆管拡張+総胆管結石。さてどう読む?

アユム アユム

黄疸があって胆管に石が詰まっているから、胆石絡みですか?

博士 博士

その通り。まず黄疸の型を押さえよう。ビリルビンは間接型(非抱合型)と直接型(抱合型)に分けられるのじゃ。

アユム アユム

間接が優位なら溶血、直接が優位なら閉塞性、というのを聞いたことがあります。

博士 博士

よく覚えておるな。Aさんは直接ビリルビン7.2/総8.7で、ほぼ全てが直接型。つまり肝で抱合された後に排泄経路で詰まっている「閉塞性(肝後性)黄疸」を強く疑う所見じゃ。

アユム アユム

超音波で総胆管拡張と総胆管結石が見えているのも一致しますね。

博士 博士

うむ。総胆管結石により胆汁流出が妨げられ、胆汁が血中に逆流して黄疸を起こしておるのじゃ。

アユム アユム

発熱38.2度と白血球14960、CRP9.2もありますね。これは胆管炎ですか?

博士 博士

鋭い!これが有名なCharcot(シャルコー)三徴じゃ。発熱・黄疸・右上腹部痛の3つがそろえば急性胆管炎。さらに意識障害・ショックが加わるとReynolds五徴で重症化の合図じゃ。

アユム アユム

急性胃炎や急性腎不全は除外できますか?

博士 博士

胃炎は心窩部痛中心で黄疸は出ない。腎不全はクレアチニン0.98で正常域、否定的じゃ。溶血性貧血はHb12.8で貧血がなく、しかも直接ビリルビン優位だから病態が逆じゃ。

アユム アユム

Aさんの背景で胆石のリスクはありましたか?

博士 博士

BMIを計算すると82÷(1.55×1.55)≒34じゃ。高度肥満に該当する。胆石のリスク因子は4Fと呼ばれ、Fat(肥満)、Forty(40代)、Female(女性)、Fertile(多産)じゃ。

アユム アユム

Aさんはほぼ当てはまりますね。

博士 博士

その通り。臨床所見・検査・画像・リスク因子、すべてが閉塞性黄疸(総胆管結石+急性胆管炎)を指しておる。

アユム アユム

治療方針としては緊急ERCPですね?

博士 博士

正解。ERCPで結石除去もしくは胆道ドレナージを行い、抗菌薬投与を並行する。

POINT

Aさんは右季肋部痛・発熱・黄疸のCharcot三徴を呈し、直接ビリルビン優位の高ビリルビン血症、総胆管拡張、総胆管結石というすべての所見が閉塞性黄疸に合致しています。胆道が結石で閉塞されると胆汁が肝内にうっ滞し血中へ逆流、さらに胆汁うっ滞部で細菌増殖が起こり急性胆管炎を合併します。肥満・中年女性というリスク因子(4F)も典型的です。看護師は重症化を示すReynolds五徴(三徴+意識障害+ショック)を見逃さず、緊急胆道ドレナージ(ERCP/ENBD)への迅速な連携を行うことが求められます。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:次の文を読み以下の問いに答えよ。 Aさん( 56 歳、女性、会社員)は、夕食の 1 時間後から腹痛・嘔吐が出現し救急外来を受診した。2 か月前から自然に消失する右季肋部痛を繰り返していた。 身体所見:身長 155 cm、体重 82 kg。体温 38.2 ℃、呼吸数 16 /分、脈拍 110 /分、血圧 126 / 70 mmHg。眼球結膜に黄染あり。右季肋部に圧痛あり。意識清明。 検査所見:白血球 14,960 /μL、Hb 12.8 g /dL。総ビリルビン 8.7 mg /dL、直接ビリルビン 7.2 mg /dL、アミラーゼ 121 IU/L、リパーゼ 45 IU/L、尿素窒素 18.9 mg /dL、血清クレアチニン 0.98 mg /dL。CRP 9.2 mg /dL。 腹部超音波検査所見:胆囊壁の肥厚、胆囊の腫大、総胆管の拡張、総胆管結石を認めた。 Aさんの病態で正しいのはどれか。

解説:正解は 3 です。Aさんは右季肋部痛・発熱・黄疸(Charcot三徴)と、総ビリルビン・直接ビリルビンの著明上昇、超音波での総胆管拡張と総胆管結石を認めており、総胆管結石による胆道閉塞で胆汁が肝内にうっ滞し血中に逆流している。これは典型的な閉塞性黄疸であり、しばしば急性胆管炎を合併する状態である。

選択肢考察

  1. × 1.  急性胃炎( acute gastritis )

    急性胃炎では心窩部痛・悪心・嘔吐が中心で、黄疸や総胆管拡張、ビリルビン高値は起こらない。Aさんの所見とは合致しない。

  2. × 2.  急性腎不全( acute renal failure )

    Aさんのクレアチニン0.98、尿素窒素18.9はともにほぼ正常域で、乏尿や電解質異常も示されておらず急性腎不全とは言えない。

  3. 3.  閉塞性黄疸( obstructive jaundice )

    総胆管結石で胆汁流出が妨げられ、直接ビリルビン優位の高ビリルビン血症、眼球結膜黄染、総胆管拡張を呈しておりすべてが閉塞性黄疸に合致する。

  4. × 4.  溶血性貧血( hemolytic anemia )

    溶血性貧血では間接ビリルビンが優位に上昇しHbが低下するが、AさんはHb12.8で貧血なし、直接ビリルビン優位上昇であり病態が異なる。

黄疸はビリルビンの種類で3型に分類される。①肝前性(溶血性):間接ビリルビン優位、②肝性(肝細胞障害):両方上昇+AST/ALT著増、③肝後性(閉塞性):直接ビリルビン優位。Aさんは直接ビリルビン7.2/総8.7で直接優位であり閉塞性を示す。急性胆管炎のCharcot三徴(発熱・黄疸・右上腹部痛)に意識障害・ショックが加わるとReynolds五徴となり、緊急胆道ドレナージ適応となる。肥満(BMI≒34)、40代以上、女性、多産は胆石のリスク因子(4F: Fat, Forty, Female, Fertile)として知られている。

直接ビリルビン優位の黄疸+総胆管拡張+総胆管結石という所見から、閉塞性黄疸を同定できるかを問う問題。