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ERCP前の患者説明で押さえるポイント:咽頭麻酔と膵炎リスク

看護師国家試験 第109回 午後 第95問 / 成人看護学 / 消化器・栄養代謝系

国試問題にチャレンジ

109回 午後 第95問

次の文を読み以下の問いに答えよ。 Aさん( 56 歳、女性、会社員)は、夕食の 1 時間後から腹痛・嘔吐が出現し救急外来を受診した。2 か月前から自然に消失する右季肋部痛を繰り返していた。 身体所見:身長 155 cm、体重 82 kg。体温 38.2 ℃、呼吸数 16 /分、脈拍 110 /分、血圧 126 / 70 mmHg。眼球結膜に黄染あり。右季肋部に圧痛あり。意識清明。 検査所見:白血球 14,960 /μL、Hb 12.8 g /dL。総ビリルビン 8.7 mg /dL、直接ビリルビン 7.2 mg /dL、アミラーゼ 121 IU/L、リパーゼ 45 IU/L、尿素窒素 18.9 mg /dL、血清クレアチニン 0.98 mg /dL。CRP 9.2 mg /dL。 腹部超音波検査所見:胆囊壁の肥厚、胆囊の腫大、総胆管の拡張、総胆管結石を認めた。 Aさんは、緊急で内視鏡的逆行性胆管膵管造影〈 ERCP 〉を受ける方針となった。検査前に看護師が行う説明で正しいのはどれか。2 つ選べ。

  1. 1.「のどに麻酔をします」
  2. 2.「磁力を使った検査です」
  3. 3.「造影剤を静脈から投与します」
  4. 4.「検査は仰向けで行います」
  5. 5.「検査後の合併症に膵炎があります」

対話形式の解説

博士 博士

さて、Aさんは総胆管結石による閉塞性黄疸で緊急ERCPを受けることになった。今日は検査前の看護師説明を学ぶぞ。

サクラ サクラ

ERCPって名前は聞きますが、具体的にはどんな検査ですか?

博士 博士

内視鏡的逆行性胆管膵管造影、つまり内視鏡で十二指腸のVater乳頭までたどり着いて、そこから胆管や膵管にカテーテルを入れ、造影剤を「逆流」させて撮影する検査じゃ。

サクラ サクラ

逆行性、だから「レトログレード」なんですね。

博士 博士

その通り。だから造影剤は静脈からではなく、内視鏡のカテーテルから直接胆管に注入する。

サクラ サクラ

「造影剤を静脈から投与します」は間違いということですね。

博士 博士

うむ。では磁力を使う検査は何かな?

サクラ サクラ

MRIですね。ERCPはX線透視下ですね。

博士 博士

よしよし。麻酔はどうかな?内視鏡を飲み込むのはつらいから…

サクラ サクラ

のどに麻酔しますよね。キシロカインスプレーで。

博士 博士

正解!それに加えてミダゾラムなどの鎮静薬を使い、苦痛を和らげる。

サクラ サクラ

体位は仰向けでいいんでしょうか?

博士 博士

ここが盲点じゃ。ERCPは開始時に左側臥位、内視鏡が十二指腸に到達したら腹臥位(うつ伏せ)に変える。仰向けではやらんのじゃ。

サクラ サクラ

なぜ腹臥位に変えるんですか?

博士 博士

Vater乳頭の位置関係上、腹臥位の方がカテーテル操作がしやすく、X線透視像も取りやすいからじゃ。

サクラ サクラ

検査後の合併症で一番怖いのは何ですか?

博士 博士

ERCP後膵炎じゃ。頻度は2〜10%で、膵管口を触ったり造影剤が膵管に入ったりすることで起こる。

サクラ サクラ

だから「検査後の合併症に膵炎があります」が正解なんですね。

博士 博士

うむ。それ以外にも出血、穿孔、胆管炎があるが、頻度トップは膵炎じゃ。検査後は腹痛・発熱・アミラーゼ上昇を必ずチェックする。

サクラ サクラ

正解は1と5、ということで整理できました。

博士 博士

ちなみに診断目的のみならMRCP(磁気共鳴胆管膵管撮影)が非侵襲的で安全じゃが、Aさんのように結石除去まで必要な場合はERCPが一択じゃ。

サクラ サクラ

治療まで一度に行えるのが強みなんですね。

POINT

ERCPは内視鏡を十二指腸まで進めVater乳頭からカテーテルを挿入し、胆管・膵管に造影剤を逆行性に注入するX線透視下検査で、結石除去やステント留置などの治療も同時に行えます。検査前には咽頭麻酔と鎮静薬投与が必須で、体位は左側臥位で開始し腹臥位へ移行します。最も頻度の高い合併症はERCP後膵炎で、検査後は腹痛・発熱・アミラーゼ上昇を注意深く観察します。非侵襲的に胆管を描出したい場合はMRCPを選択することもありますが、Aさんのように結石除去が必要なケースではERCPが第一選択となります。

解答・解説

正解は 1 5 です

問題文:次の文を読み以下の問いに答えよ。 Aさん( 56 歳、女性、会社員)は、夕食の 1 時間後から腹痛・嘔吐が出現し救急外来を受診した。2 か月前から自然に消失する右季肋部痛を繰り返していた。 身体所見:身長 155 cm、体重 82 kg。体温 38.2 ℃、呼吸数 16 /分、脈拍 110 /分、血圧 126 / 70 mmHg。眼球結膜に黄染あり。右季肋部に圧痛あり。意識清明。 検査所見:白血球 14,960 /μL、Hb 12.8 g /dL。総ビリルビン 8.7 mg /dL、直接ビリルビン 7.2 mg /dL、アミラーゼ 121 IU/L、リパーゼ 45 IU/L、尿素窒素 18.9 mg /dL、血清クレアチニン 0.98 mg /dL。CRP 9.2 mg /dL。 腹部超音波検査所見:胆囊壁の肥厚、胆囊の腫大、総胆管の拡張、総胆管結石を認めた。 Aさんは、緊急で内視鏡的逆行性胆管膵管造影〈 ERCP 〉を受ける方針となった。検査前に看護師が行う説明で正しいのはどれか。2 つ選べ。

解説:正解は 1 と 5 です。ERCPは口から十二指腸ファイバーを挿入し、Vater乳頭からカテーテルを胆管に通して造影剤を直接注入するX線透視下検査である。咽頭反射を抑えるため咽頭麻酔(キシロカインスプレーなど)と鎮静薬投与を行う。また、膵管口を刺激したり膵管への造影剤注入があったりするため、検査後急性膵炎(post-ERCP pancreatitis)が最も頻度の高い合併症として知られている。

選択肢考察

  1. 1.  「のどに麻酔をします」

    内視鏡挿入時の咽頭反射・苦痛を軽減するため咽頭麻酔を実施する。多くは鎮静薬(ミダゾラムなど)も併用する。

  2. × 2.  「磁力を使った検査です」

    磁力を使うのはMRI(MRCP)。ERCPはX線透視下で内視鏡と造影剤を用いる検査である。

  3. × 3.  「造影剤を静脈から投与します」

    ERCPの造影剤は内視鏡から挿入したカテーテルを介して十二指腸乳頭経由で胆管・膵管に直接注入する。静脈投与ではない。

  4. × 4.  「検査は仰向けで行います」

    開始時は左側臥位で、内視鏡が十二指腸に到達した後に腹臥位(うつ伏せ)に変更するのが一般的。仰臥位では施行しない。

  5. 5.  「検査後の合併症に膵炎があります」

    ERCP後膵炎は最も多い合併症(2〜10%)。他に出血、穿孔、胆管炎・胆嚢炎も生じうる。検査後はアミラーゼ上昇・腹痛・発熱に注意する。

ERCPの手順:①咽頭麻酔+鎮静薬、②左側臥位で内視鏡挿入、③十二指腸到達後に腹臥位、④Vater乳頭からカテーテルを胆管・膵管に挿入、⑤造影剤を注入しX線撮影、⑥結石除去(EST+バスケット把持)やステント留置など治療も併施。合併症は①ERCP後膵炎(最多)、②出血、③穿孔、④胆管炎。検査後は絶食管理のうえ、アミラーゼ・腹痛・バイタルを経時的に観察する。MRCPは磁力を使う非侵襲的検査で、診断目的なら第一選択となる場面も増えている。

ERCPの手技的特徴(内視鏡+X線透視)と体位、および代表的合併症(ERCP後膵炎)を正確に理解しているかを問う。