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マイルズ手術のストーマ位置を解剖から読み解く

看護師国家試験 第111回 午前 第91問 / 成人看護学 / 消化器・栄養代謝系

国試問題にチャレンジ

111回 午前 第91問

次の文を読み以下の問いに答えよ。 Aさん(60歳、男性、会社員)は息子2人が独立して遠方で暮らしており、2年前に妻と死別して以来、1人暮らし。直腸癌(rectal cancer)と診断され、腹会陰式直腸切断術、人工肛門造設術を行うと外来で説明を受けた。Aさんは看護師に対して「人工肛門を作ると聞いています。便が出てくる場所がどこなのかよくわからなくてイメージできない」と話した。 人体の前面と背面を図に示す。 Aさんの人工肛門が造設される位置はどれか。

次の文を読み以下の問いに答えよ。 Aさん(60歳、男性、会社員)は息子2人が独立して遠方で暮らしており、2年前に妻と死別して以来、1人暮らし。直腸癌(rectal cancer)と診断され、腹会陰式直腸切断術、人工肛門造設術を行うと外来で説明を受けた。Aさんは看護師に対して「人工肛門を作ると聞いています。便が出てくる場所がどこなのかよくわからなくてイメージできない」と話した。 人体の前面と背面を図に示す。 Aさんの人工肛門が造設される位置はどれか。
  1. 1.
  2. 2.
  3. 3.
  4. 4.

対話形式の解説

博士 博士

今日はAさんの事例じゃ。直腸癌で腹会陰式直腸切断術、いわゆるマイルズ手術を受けるんじゃが、人工肛門はどこに造られると思うかの?

サクラ サクラ

うーん、お腹のどこか、くらいしか浮かびません…。

博士 博士

まず術式を整理しよう。マイルズ手術では直腸・肛門管・肛門括約筋を一塊で切除する。つまり肛門からの排便路は完全に失われるんじゃ。

サクラ サクラ

だから永久的な人工肛門が必要なんですね。

博士 博士

その通り。肛門側は縫合閉鎖され、口側のS状結腸の断端を腹壁に引き出して造るのが一般的なS状結腸ストーマじゃ。

サクラ サクラ

S状結腸って、お腹のどちら側にありましたっけ?

博士 博士

S状結腸は左下腹部を走行している。だから図の③、左下腹部が正解じゃな。

サクラ サクラ

他の位置はどんな意味があるんですか?

博士 博士

①の左上腹部は胃や横行結腸、胃瘻や横行結腸ストーマの位置。②の右下腹部は回腸ストーマや盲腸ストーマ、④は肛門部じゃ。

サクラ サクラ

なるほど、解剖を思い浮かべれば迷わず選べそうです。

博士 博士

ストーマ造設前にはWOCナースが立位・座位・仰臥位で腹壁を観察し、腹直筋を通り、骨突起や臍、しわを避けた位置にマーキングするんじゃ。

サクラ サクラ

患者さんが自分で見えて手が届く位置を選ぶことが大切なんですね。

博士 博士

そうじゃ。退院後の自己管理を見据え、装具装着や便の観察がしやすい位置を事前に決めておくのがポイントじゃよ。

POINT

マイルズ手術は直腸・肛門を一括切除するため永久人工肛門が必須で、口側断端のS状結腸を腹壁に引き出して造るため左下腹部が標準部位となる。他の位置は胃・回腸・肛門部を示しており該当しない。術前マーキングでは腹直筋を通過し、骨突起・臍・瘢痕を避け、患者が視認・操作しやすい位置を選定することが重要である。解剖学的知識をもとに術式とストーマ位置の対応を押さえておきたい。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:次の文を読み以下の問いに答えよ。 Aさん(60歳、男性、会社員)は息子2人が独立して遠方で暮らしており、2年前に妻と死別して以来、1人暮らし。直腸癌(rectal cancer)と診断され、腹会陰式直腸切断術、人工肛門造設術を行うと外来で説明を受けた。Aさんは看護師に対して「人工肛門を作ると聞いています。便が出てくる場所がどこなのかよくわからなくてイメージできない」と話した。 人体の前面と背面を図に示す。 Aさんの人工肛門が造設される位置はどれか。

解説:正解は 3 です。腹会陰式直腸切断術(マイルズ手術)は、直腸・肛門・肛門括約筋を一塊として切除する術式で、肛門からの排便が不可能となるため永久的な人工肛門(ストーマ)の造設が必要です。直腸を切除した後は口側の残存腸管であるS状結腸の断端を左下腹部から腹壁に引き出してストーマを造ります。そのため左下腹部の位置に造設されるのが一般的です。

選択肢考察

  1. × 1.  ①

    左上腹部は胃や横行結腸の走行位置に相当します。横行結腸ストーマが一時的に造られる場合はありますが、直腸切断術後の永久的ストーマとしては選択されません。

  2. × 2.  ②

    右下腹部は回腸ストーマ(イレオストミー)や盲腸・上行結腸ストーマの位置で、S状結腸ストーマの部位ではありません。本症例では小腸は温存されるため該当しません。

  3. 3.  ③

    左下腹部はS状結腸が存在する位置で、マイルズ術後に口側断端となるS状結腸を引き出してストーマを造設する標準的部位です。自己ケアしやすく装具も装着しやすい位置です。

  4. × 4.  ④

    肛門部は本術式で完全に切除・縫合閉鎖されるため、ここから便が出ることはありません。また会陰部は自己観察や装具装着が困難でストーマ造設部位として選択されません。

ストーマ造設部位はあらかじめWOCナースなどがマーキング(ストーマサイトマーキング)を行い、腹直筋を貫通し、臍・骨突起・瘢痕・皮膚のしわを避け、本人が見えて手で届く位置を選びます。S状結腸ストーマは便の性状が比較的固形便に近く、管理しやすいのが特徴です。

腹会陰式直腸切断術(マイルズ手術)で造設されるS状結腸ストーマの解剖学的位置(左下腹部)を、残存腸管の走行から判断できるかを問う問題です。