クリップひとつで何がわかる?パルスオキシメータの原理
看護師国家試験 第107回 午前 第83問 / 基礎看護学 / 看護における基本技術
国試問題にチャレンジ
パルスオキシメータを下に示す。 表示されている数値が示すのはどれか。2つ選べ。
- 1.脈拍数
- 2.酸素分圧
- 3.酸素飽和度
- 4.重炭酸濃度
- 5.二酸化炭素濃度
対話形式の解説
博士
パルスオキシメータって、指に挟むだけでどうやって酸素の状態がわかると思う?
サクラ
光を使っているのは知っていますが、詳しい仕組みは……。
博士
赤色光と赤外光の2種類を指に当てて、酸素と結合したヘモグロビンと結合していないヘモグロビンの吸光度の違いを利用しておるのじゃ。
サクラ
ヘモグロビンの色の違いを光で読み取っているんですね。
博士
そうじゃ。酸素化ヘモグロビンは鮮紅色、還元ヘモグロビンは暗赤色で、赤色光と赤外光の吸収比率が違うのじゃ。
サクラ
だから動脈血酸素飽和度(SpO2)が計算できるんですね。
博士
うむ。さらに拍動による光量変化を拾うから、脈拍数も同時に出るのじゃよ。
サクラ
なるほど、『パルス』という名前の由来がそこにあるんですね。
博士
選択肢の酸素分圧や二酸化炭素濃度はどう測る?
サクラ
あれらは動脈血をとって血液ガス分析をしないと出ませんよね。
博士
その通り。重炭酸濃度も電解質・血液ガスの世界じゃ。非侵襲で出せるのはSpO2と脈拍数だけじゃ。
サクラ
SpO2の正常値はどれくらいでしたっけ?
博士
96〜99%が目安で、90%を切ると呼吸不全を疑うレベルじゃ。
サクラ
注意点はありますか?
博士
マニキュアや末梢冷感、強い体動、一酸化炭素中毒では誤差が出るから、見た目や他の指標も合わせて判断するのじゃぞ。
POINT
パルスオキシメータはSpO2と脈拍数を非侵襲で同時測定する装置です。測定原理は2波長の光吸収差によるヘモグロビンの分画検出であり、血液ガス分析で測る酸素分圧や二酸化炭素とは別物です。正常値96〜99%、90%以下は呼吸不全の目安であり、誤差要因(マニキュア・冷感・動き・異常Hb)を把握しておくことが臨床判断の質を高めます。あくまでSpO2は『割合』であり絶対量ではない点にも注意が必要です。
解答・解説
正解は 1 ・ 3 です
問題文:パルスオキシメータを下に示す。 表示されている数値が示すのはどれか。2つ選べ。
解説:正解は 1 と 3 です。パルスオキシメータは皮膚の上から発光部と受光部で挟み、赤色光(約660nm)と赤外光(約940nm)を照射して、酸素化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸光度の違いを利用して動脈血酸素飽和度(SpO2)を算出する非侵襲的モニタです。同時に、拍動による光の吸収変化から脈拍数(PR)も計測・表示します。したがって表示される2つの数値は『SpO2(酸素飽和度)』と『脈拍数』です。酸素分圧や二酸化炭素濃度、重炭酸濃度は動脈血ガス分析で測定するもので、経皮的には得られません。
選択肢考察
-
○ 1. 脈拍数
拍動に伴う光吸収の変化から算出され、SpO2と同時に表示されます。
-
× 2. 酸素分圧
PaO2は動脈血ガス分析で測定する値で、パルスオキシメータでは得られません。
-
○ 3. 酸素飽和度
酸素化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸光差からSpO2として経皮的に測定されます。
-
× 4. 重炭酸濃度
HCO3-は酸塩基平衡の指標で血液ガスや電解質検査で測定します。
-
× 5. 二酸化炭素濃度
PaCO2は血液ガス分析またはカプノメータで測定します。
SpO2の正常値は96〜99%で、90%以下は呼吸不全の目安です。末梢循環不全・低体温・マニキュア・強い体動・異常ヘモグロビン(COHb・MetHb)では誤差が生じます。装着部位は指尖が基本ですが、浮腫や冷感が強い場合は耳朶やつま先も選択肢となります。
パルスオキシメータの測定原理を理解し、表示される2つのパラメータ(SpO2と脈拍数)を識別できるかを問う設問です。
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