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指鼻指試験は何を見ている?

看護師国家試験 第108回 午前 第35問 / 基礎看護学 / 看護における基本技術

国試問題にチャレンジ

108回 午前 第35問

指鼻指試験で評価する項目はどれか。

  1. 1.小脳機能
  2. 2.表在反射
  3. 3.深部知覚
  4. 4.複合知覚

対話形式の解説

博士 博士

今日は神経学的検査の中でも重要な指鼻指試験について学ぼう。

サクラ サクラ

指鼻指試験ってどうやるんですか?

博士 博士

患者さんに自分の鼻先と検者が差し出した指を交互にできるだけ速くタッチしてもらう検査だよ。検者は指の位置を少しずつ動かして、両側で実施するんだ。

サクラ サクラ

何を見ているんですか?

博士 博士

正解は1番「小脳機能」だよ。小脳は協調運動や平衡、筋緊張の調節を司る部位で、この検査では測定異常、運動分解、企図振戦の3つを観察するんだ。

サクラ サクラ

測定異常って何ですか?

博士 博士

dysmetriaといって、目標を行き過ぎたり手前で止まったりする異常だ。小脳が動作の終点を正確に予測できないために起こるんだよ。

サクラ サクラ

運動分解は?

博士 博士

decompositionといって、滑らかに動くべき動作が分節的にガクガクと分かれてしまう現象だ。

サクラ サクラ

企図振戦というのも初めて聞きました。

博士 博士

intention tremorは目標に近づくほど震えが強くなる振戦で、パーキンソン病の安静時振戦とは対照的だ。小脳障害の特徴的所見だよ。

サクラ サクラ

選択肢2の表在反射は違うんですか?

博士 博士

違うよ。表在反射は皮膚粘膜への刺激で生じる反射で、角膜反射、腹壁反射、足底反射(バビンスキー反射の観察対象)などだ。錐体路障害で消失することが多いんだ。

サクラ サクラ

選択肢3の深部知覚は?

博士 博士

深部知覚は関節位置覚、運動覚、振動覚で、後索-内側毛帯路を通る。音叉で振動覚を、関節他動運動で位置覚を、ロンベルグ試験で総合評価するんだ。指鼻指試験とは別物だよ。

サクラ サクラ

選択肢4の複合知覚も気になります。

博士 博士

複合知覚は2点識別覚、立体認知、皮膚書字覚など、表在・深部知覚を頭頂葉で統合した高次感覚だ。頭頂葉障害で選択的に障害されることがあるよ。

サクラ サクラ

小脳機能の他の検査も教えてください。

博士 博士

踵膝試験(対側の踵を反対側の膝から脛へ滑らせる)、回内回外試験(反復拮抗運動、拙劣ならdysdiadochokinesis)、Romberg試験(平衡覚の評価)などがあるね。

サクラ サクラ

小脳のどこが障害されるかでも症状が違うんですか?

博士 博士

そう、小脳虫部障害では体幹失調や歩行障害が、小脳半球障害では同側肢の協調運動障害が出やすいんだ。

サクラ サクラ

小脳は同側支配なんですね。

博士 博士

よく気づいたね。大脳は反対側支配だが、小脳は交叉がないため同側支配というのも重要ポイントだよ。

POINT

指鼻指試験は小脳の協調運動機能を評価する検査で、測定異常・運動分解・企図振戦の3徴を観察する。正解は1の小脳機能。表在反射は皮膚粘膜刺激、深部知覚は関節位置覚・振動覚、複合知覚は2点識別覚などで、いずれも指鼻指試験の評価対象ではない。小脳検査は踵膝試験・回内回外試験・Romberg試験と合わせて整理しよう。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:指鼻指試験で評価する項目はどれか。

解説:正解は 1 です。指鼻指試験(finger-nose-finger test)は患者が自分の鼻先と検者の指を交互にできるだけ速くタッチする動作を観察する神経学的検査で、小脳の協調運動機能を評価します。小脳失調では測定異常(dysmetria:目標を行き過ぎたり手前で止まる)、運動分解(decomposition:動作が分節的になる)、企図振戦(intention tremor:目標に近づくほど震えが強くなる)が現れます。両側で検査し、検者の指を様々な位置に動かすことで精度を高めます。

選択肢考察

  1. 1.  小脳機能

    指鼻指試験は小脳の協調運動機能を評価する代表的な検査で、測定異常・運動分解・企図振戦を見ます。踵膝試験、回内回外試験(反復拮抗運動)とセットで押さえましょう。

  2. × 2.  表在反射

    表在反射は皮膚粘膜への刺激で生じる反射(角膜反射、腹壁反射、足底反射、挙睾筋反射など)で、錐体路障害で減弱・消失します。評価方法も指鼻指試験とは異なります。

  3. × 3.  深部知覚

    深部知覚は関節位置覚・運動覚・振動覚などで、後索-内側毛帯路を通ります。音叉(振動覚)、関節他動運動(位置覚)、ロンベルグ試験などで評価し、指鼻指試験の評価対象ではありません。

  4. × 4.  複合知覚

    複合知覚は2点識別覚、立体認知、皮膚書字覚など、表在・深部知覚を大脳皮質(特に頭頂葉)で統合した高次感覚で、専用検査で評価します。指鼻指試験では評価できません。

小脳機能検査は①協調運動:指鼻指試験・踵膝試験、②反復拮抗運動:回内回外試験(拙劣ならdysdiadochokinesis)、③平衡:Romberg試験(開眼でも倒れる)、歩行:酒酔い歩行など多角的に評価します。小脳虫部障害では体幹失調・歩行障害、小脳半球障害では同側肢の協調運動障害が主症状。神経系の診察は「どの部位を見ているか」を意識して整理しましょう。

神経学的診察の中で指鼻指試験が何を評価するかを特定できるかを問う問題。小脳・反射・感覚系の評価法の区別が焦点です。