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深部腱反射で髄節を探る、膝蓋腱反射はL2〜L4の鏡

看護師国家試験 第109回 午後 第40問 / 基礎看護学 / 看護における基本技術

国試問題にチャレンジ

109回 午後 第40問

第 2 ~第 4 腰髄の障害を確認する方法で適切なのはどれか。

  1. 1.輻輳反射
  2. 2.膝蓋腱反射
  3. 3.Barré〈バレー〉徴候
  4. 4.Trendelenburg〈トレンデレンブルグ〉徴候

対話形式の解説

博士 博士

今回は神経所見の基本、膝蓋腱反射と髄節レベルの問題じゃ。深部腱反射の支配髄節は国試で繰り返し問われるから、しっかり覚えるのじゃ。

アユム アユム

深部腱反射って、ゴムハンマーで叩くあれですよね。

博士 博士

そのとおりじゃ。正式には「腱反射(伸張反射)」と呼ぶ。筋腱を叩くと筋紡錘が引き伸ばされ、Ia線維を介して脊髄のα運動ニューロンに入り、同じ筋が反射的に収縮する単シナプス反射じゃ。

アユム アユム

反射経路がシンプルなんですね。

博士 博士

そう、だから反射の有無や強弱で特定の脊髄分節や末梢神経の機能を評価できる。膝蓋腱反射ならL2〜L4、アキレス腱反射ならS1〜S2という具合に、髄節が決まっておる。

アユム アユム

上肢の反射は?

博士 博士

上腕二頭筋反射はC5〜C6、腕橈骨筋反射もC5〜C6、上腕三頭筋反射はC7〜C8じゃ。髄節マップとして丸ごと覚えるとよい。

アユム アユム

反射が低下したり消失したらどう考えるんですか?

博士 博士

反射弓のどこか、つまり末梢神経、脊髄分節、筋肉、神経筋接合部のいずれかに障害があると疑う。これを「下位運動ニューロン障害」と呼ぶ。

アユム アユム

逆に亢進しているときは?

博士 博士

「上位運動ニューロン障害」すなわち錐体路の障害を示唆する。錐体路は通常、脊髄反射を抑制しておるから、それが障害されると抑制が外れて反射が強く出てしまうのじゃ。

アユム アユム

輻輳反射はなぜ違うんですか?

博士 博士

輻輳反射は両眼が内転し縮瞳する反射で、中枢は中脳、経路は動眼神経じゃ。腰髄とはまったく無関係で、中脳障害や動眼神経麻痺の評価に使う。

アユム アユム

Barré徴候はどう使うんですか?

博士 博士

軽度の錐体路障害を検出する徴候じゃ。上肢Barré徴候は、両腕を手掌を上にして前方挙上し閉眼、麻痺側が徐々に回内しながら下降する。下肢Barré徴候は腹臥位で膝を135度屈曲して保持させ、麻痺側が下降する。脳卒中の軽微な麻痺を拾うのに有用じゃが、髄節特定には不向きじゃな。

アユム アユム

Trendelenburg徴候は?

博士 博士

中殿筋の筋力低下を示す徴候じゃ。患側で片足立ちすると、中殿筋が骨盤を水平に保てず健側の骨盤が下降する。中殿筋の支配神経は上殿神経(L4〜S1)じゃから、L2〜L4単独の評価には合わない。変形性股関節症や人工股関節術後でよく観察するぞ。

アユム アユム

病的反射も覚えた方がいいですか?

博士 博士

Babinski反射、Chaddock反射、Oppenheim反射などが代表的な病的反射で、足底を擦ったときに母趾が背屈すれば陽性、錐体路障害を示唆する。生後1歳までは生理的に陽性なことも忘れずに。

アユム アユム

看護師として神経所見をどう活用するんですか?

博士 博士

急性期の脳卒中、脊髄損傷、末梢神経障害、糖尿病性神経障害など、経時的な神経症状の変化を観察するのは看護師の重要な役割じゃ。日々の観察で微細な変化を拾えるかが、早期対応のカギになる。

アユム アユム

反射を見るときのコツはありますか?

博士 博士

患者をリラックスさせ、左右を比較しながら叩打すること、叩打部位と力加減を一定にすることじゃ。反射が出にくいときは「Jendrassik手技(両手の指を引っかけて引く)」で促通する方法もある。

POINT

膝蓋腱反射は大腿四頭筋を介する深部腱反射で、反射中枢は第2〜第4腰髄(L2〜L4)に存在し、大腿神経が反射弓を構成します。この反射を観察することでL2〜L4髄節の機能評価が可能で、消失・低下は末梢神経や脊髄分節の障害、亢進は錐体路(上位運動ニューロン)障害を示唆します。輻輳反射は中脳、Barré徴候は錐体路、Trendelenburg徴候は中殿筋の評価に用いるもので、L2〜L4単独の評価には不適切です。深部腱反射と髄節の対応(上腕二頭筋反射C5〜C6、上腕三頭筋反射C7〜C8、膝蓋腱反射L2〜L4、アキレス腱反射S1〜S2)を体系的に覚えることは、神経学的評価の基礎として脳卒中・脊髄損傷・末梢神経障害の観察に不可欠で、看護師が日々の観察で微細な変化を捉えるための重要なスキルです。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:第 2 ~第 4 腰髄の障害を確認する方法で適切なのはどれか。

解説:正解は 2 です。膝蓋腱反射は、膝を軽く屈曲させた状態で膝蓋骨下方の膝蓋腱をゴムハンマーで叩打すると、大腿四頭筋が反射的に収縮して下腿が前方に伸展する伸張反射(深部腱反射)である。この反射弓は大腿神経を介し、反射中枢は第2〜第4腰髄(L2〜L4)に存在する。したがってL2〜L4の障害を評価する際に膝蓋腱反射が最も適切である。反射が消失または低下すれば末梢神経障害(脊髄分節・大腿神経・筋障害)を、亢進すれば錐体路障害(上位運動ニューロン障害)を疑う。

選択肢考察

  1. × 1.  輻輳反射

    輻輳反射は近方視時に両眼が内転し縮瞳する反射で、中枢は中脳、経路は動眼神経(Ⅲ)。腰髄とは無関係で、中脳障害や動眼神経麻痺の評価に用いる。

  2. 2.  膝蓋腱反射

    反射弓はL2〜L4に存在し、大腿神経を介する深部腱反射。L2〜L4の障害評価に適切。消失・低下は末梢神経・脊髄分節障害、亢進は錐体路障害を示唆。

  3. × 3.  Barré〈バレー〉徴候

    軽度の錐体路障害(上位運動ニューロン障害)を検出する徴候。上肢Barré徴候は両腕挙上で患側が回内して下降、下肢Barré徴候は腹臥位で膝屈曲135度を保てず下降する。脳卒中などの中枢性運動麻痺の評価に用い、腰髄分節の特定には不適。

  4. × 4.  Trendelenburg〈トレンデレンブルグ〉徴候

    中殿筋(支配神経は上殿神経、L4〜S1)の筋力低下を示す徴候で、患側で片足立ちすると健側の骨盤が下降する。変形性股関節症や中殿筋麻痺の評価に用いる。L2〜L4単独の評価には不適切。

深部腱反射と支配髄節の対応は国試頻出である。上腕二頭筋反射はC5〜C6、腕橈骨筋反射はC5〜C6、上腕三頭筋反射はC7〜C8、膝蓋腱反射はL2〜L4、アキレス腱反射はS1〜S2である。反射消失・低下は末梢神経障害や脊髄分節障害、反射亢進は錐体路障害を示唆する。また病的反射としてBabinski反射、Chaddock反射などが陽性になれば錐体路障害を疑う。脊髄反射の所見を系統的に観察することで、障害の部位診断に役立てることができる。

深部腱反射の反射弓と髄節レベルの対応関係を問う問題。膝蓋腱反射=L2〜L4が基本。