成人の血圧測定の基本手技
看護師国家試験 第110回 午後 第38問 / 基礎看護学 / 看護における基本技術
国試問題にチャレンジ
成人の上腕での触診法による血圧測定で適切なのはどれか。
- 1.ゴム囊中央が上腕の正中線に沿うように合わせる。
- 2.マンシェットの幅は13~17cmのものを使用する。
- 3.加圧後1秒ごとに10mmHg下がる速さで減圧する。
- 4.動脈の拍動が触知できなくなった値からさらに40mmHg加圧する。
対話形式の解説
博士
今日は血圧測定の技術問題じゃ。
アユム
マンシェットのサイズや手順で迷いがちです。
博士
まず成人上腕用の幅はいくつじゃ。
アユム
14cmが多いと聞きます。
博士
JIS規格では13〜17cmとされ、標準は14cm前後じゃ。
アユム
ゴム囊の位置は正中線でしょうか。
博士
いや、上腕動脈の走行線上、肘窩の内側寄りに中央を合わせるのじゃ。
アユム
減圧の速度は。
博士
1秒ごとに2〜3mmHg、もしくは1拍動につき2mmHgが適切じゃ。10mmHgは速すぎる。
アユム
速すぎると何がまずいのですか。
博士
収縮期が低く、拡張期が高く出て誤差が大きくなるのじゃ。
アユム
触診法での加圧量は。
博士
拍動が消えた値からさらに20〜30mmHg加圧する。40mmHgは過剰で患者が痛がる。
アユム
サイズが合わないとどうなりますか。
博士
幅が狭いと高値、広いと低値に偏る。肥満者や細腕では専用サイズを用意するのじゃ。
アユム
では正解は2の13〜17cmですね。
博士
その通り、2が正解じゃよ。
POINT
成人上腕用マンシェット幅は13〜17cmが規格で、ゴム囊中央は上腕動脈に合わせます。減圧速度は2〜3mmHg/秒、触診法の加圧は拍動消失値プラス20〜30mmHgが目安です。サイズ不適合や巻き方の緩み、姿勢や会話も誤差要因となるため、基本手技を正しく守りましょう。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:成人の上腕での触診法による血圧測定で適切なのはどれか。
解説:正解は 2 です。JIS規格では成人の上腕用マンシェットの幅は13~17cm(標準的には約14cm)と定められています。幅が広すぎると実測値が低く、狭すぎると高く出るため、対象の上腕周径に合った幅を選ぶことが正確な測定の前提となります。ゴム囊は正中線ではなく上腕動脈上に当て、減圧は2~3mmHg/秒、触診法で拍動が消失した値からさらに20mmHg程度加圧する、というその他の基本手技も併せて押さえておきましょう。
選択肢考察
-
× 1. ゴム囊中央が上腕の正中線に沿うように合わせる。
ゴム囊の中央は上腕の正中線ではなく、上腕動脈の走行線(肘窩内側寄り)に沿うように合わせます。動脈上に正確に圧迫を加えることでコロトコフ音や脈拍を確実に捉えられ、誤差の少ない測定が可能になります。
-
○ 2. マンシェットの幅は13~17cmのものを使用する。
JIS規格では成人上腕用マンシェットの幅は13~17cm(標準は14cm程度)、ゴム囊長は腕周の約40%が推奨されています。幅不適合は測定誤差の主因となるため、肥満者や上腕が細い人ではサイズ違いを用意することが重要です。
-
× 3. 加圧後1秒ごとに10mmHg下がる速さで減圧する。
適切な減圧速度は2~3mmHg/秒(もしくは1拍動につき2mmHg)です。10mmHg/秒のような速すぎる減圧では血管音や脈拍を正確に捉えられず、収縮期血圧を実際より低く、拡張期血圧を高く読み取る誤差が生じます。
-
× 4. 動脈の拍動が触知できなくなった値からさらに40mmHg加圧する。
触診法では拍動が触れなくなった値からさらに20~30mmHg程度加圧します。40mmHgも加圧すると対象に過度の不快感や疼痛を与え、長時間の阻血による神経症状や測定値への影響も懸念されます。
血圧測定の誤差要因には、マンシェット幅の不適合、巻き方のゆるみ、腕の位置(心臓より高い/低い)、会話や直前の動作、測定前の安静時間不足などがあります。小児では年齢に応じて5cm・7cm・9cm・12cmとサイズを使い分け、小さすぎる幅は高値を示すため注意が必要です。触診法で得られるのは収縮期血圧のみで、拡張期血圧を求めるためには聴診法を用います。近年は家庭血圧・24時間自由行動下血圧測定も診療で重視されており、医療者は正しい手技の指導役となる意識が大切です。
成人の血圧測定で使用するマンシェット幅の規格(13~17cm)、ゴム囊の位置、減圧速度、触診法での加圧量といった基本技術を問う問題です。
「看護における基本技術」の関連記事
-
グルタラールはなぜ人体に使えないのか―消毒薬の使い分け
消毒薬の使用対象(人体か器具か)と作用レベルを問う基本問題。グルタラールは高水準消毒薬で人体禁忌である点を押…
114回
-
三角巾の正しい当て方―底辺と頂点の位置がカギ
三角巾による上肢固定の基本配置を問う技術問題。底辺を体幹側に縦に置き、頂点を患側肘に向ける配置が正解となる。
114回
-
意識のない傷病者を救う「回復体位」のかたち
意識はないが呼吸が保たれている傷病者に対する気道確保と誤嚥防止の体位(回復体位)の形を、図から正しく識別でき…
114回
-
ブローカ失語の患者さんに寄り添う話し方
ブローカ失語の特徴(発話困難・理解保持)を踏まえ、患者の負担を減らすコミュニケーション技法として閉じた質問が…
113回
-
心音聴診の4つの弁領域をマスターしよう
心音聴取における4つの弁領域、特に僧帽弁が心尖部(左第5肋間鎖骨中線)に位置することを図上で正確に同定できるか…
113回