看護問題は疾患では決まらない!看護過程の考え方
看護師国家試験 第107回 午前 第33問 / 基礎看護学 / 看護の展開
国試問題にチャレンジ
看護における問題解決過程で誤っているのはどれか。
- 1.多面的な情報を分析する。
- 2.看護問題の優先順位は変化する。
- 3.家族を含めた看護計画を立てる。
- 4.看護問題は疾患によって確定される。
対話形式の解説
博士
今日は看護過程における問題解決の考え方を深掘りするぞ。『誤っているもの』を選ぶ問題じゃから注意じゃ。
サクラ
はい、間違い探しですね。看護過程って学校で習いましたが、いまいち医学診断との区別がつきません。
博士
よい疑問じゃ。医師が下すのは『疾患の診断』、看護師が扱うのは『患者の反応や生活への影響』じゃ。ここがポイントなのじゃ。
サクラ
同じ肺炎でも、一人暮らしの高齢者と若い会社員では支援すべきことは違いますもんね。
博士
まさにその通り!同じ疾患でも看護問題は個別にちがう。だから『看護問題は疾患によって確定される』という選択肢4は誤りなのじゃ。
サクラ
なるほど、これが正解(誤っているもの)ですね。他の選択肢も確認したいです。
博士
選択肢1『多面的な情報を分析する』は正しい。身体面だけでなく心理・社会・スピリチュアルな面まで見渡すのが看護アセスメントじゃ。
サクラ
バイタルや検査データだけではダメなんですね。
博士
そうじゃ。生活歴、家族関係、価値観、経済状況…ぜんぶ看護問題に影響するからな。
サクラ
選択肢2『優先順位は変化する』もなんとなく正しそうですが…
博士
病態が急変すれば呼吸・循環が最優先になるし、回復期なら退院に向けた生活課題が前面に出てくる。優先順位は時間とともに動くのじゃ。マズローの欲求階層は参考になるぞ。
サクラ
選択肢3『家族を含めた看護計画』も大切ですよね。
博士
患者は家族という生活共同体の一員じゃ。退院後のサポートや意思決定にも家族は深く関わる。だから看護計画は家族も含めて立てるのが原則じゃ。
サクラ
すると明らかに違うのが選択肢4だけになりますね。
博士
そう、看護問題はあくまで『患者個人の健康に対する反応や生活障害』をもとに抽出するもの。NANDA看護診断もこの考え方で体系化されておるぞ。
サクラ
医学モデルと看護モデルを意識して読むと、ひっかけも見抜けそうです。
博士
その通り。国試では『医師ではなく看護師の視点』を問う問題がよく出る。常に『看護としてどう捉えるか』を意識するのじゃ。
サクラ
ありがとうございます、看護過程の土台が見えてきました!
POINT
本問は、看護問題が疾患ではなく患者個人の反応や生活障害から個別に抽出されるという、看護過程の本質を問う設問です。多面的な情報分析、優先順位の変化、家族を含めた計画はいずれも妥当であり、誤っているのは『疾患で確定される』という記述のみです。医学モデルと看護モデルを明確に区別する視点は、国家試験だけでなく臨床での個別的ケア提供にも不可欠な基本知識です。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:看護における問題解決過程で誤っているのはどれか。
解説:正解は4の「看護問題は疾患によって確定される。」です。看護における問題解決過程は、アセスメント(情報収集・分析)→看護診断(問題の明確化)→計画→実施→評価という一連の看護過程(看護プロセス)として展開されます。ここで導き出される『看護問題』は、疾患そのものではなく、疾患や治療、入院生活に伴って患者個人に生じる健康上の反応や生活上の困難を指します。同じ疾患でも年齢・家族構成・価値観・生活環境が異なれば看護問題は異なり、個別性を踏まえて抽出する必要があります。したがって『疾患によって確定される』という表現は誤りで、これが正解(誤っているもの)になります。
選択肢考察
-
× 1. 多面的な情報を分析する。
身体・心理・社会・スピリチュアルなど多面的な情報を統合的に分析することは、看護過程のアセスメントで必須です。正しい内容です。
-
× 2. 看護問題の優先順位は変化する。
患者の状態や状況が変われば優先順位は随時見直します。マズローの基本的欲求階層や生命危険度を参考に、動的に変化するため正しい内容です。
-
× 3. 家族を含めた看護計画を立てる。
退院支援や在宅ケアでは家族が重要な支援者・介護者となります。患者を包括的にとらえるためには家族を視野に入れた計画が必要で、正しい記述です。
-
○ 4. 看護問題は疾患によって確定される。
看護問題は疾患ではなく、疾患に対する患者個人の反応や生活障害をもとに個別的に抽出するものです。医学的診断とは独立した視点であり、この記述は誤りです。
看護過程はNANDA-I看護診断などを用いて、医学診断とは別次元で『その人の健康問題への反応』を見出す営みです。看護問題は患者の変化に応じて抽出・修正されるため、『同じ疾患でも看護問題は個別』『時間とともに優先順位が変わる』という2点は頻出です。国試では医学モデルと看護モデルの違いを意識させる設問が繰り返し出題されます。
看護過程における看護問題の捉え方について、医学診断との違いと個別性の理解を問う問題です。
「看護の展開」の関連記事
-
片麻痺患者の「ひとりで着替えたい」にどう応える?看護過程は観察から始まる
看護過程のうち「アセスメント(情報収集・観察)」が他の介入より先行することを問う問題。患者の自立への意欲を支…
114回
-
SOAPで看護記録を整理する―Sだけが患者の言葉ではない
SOAP記録法における主観的情報・客観的情報・アセスメント・計画の区別を問う基本問題。患者の発言はS、観察事実はO…
114回
-
集団指導と個別指導の使い分けを学ぼう
集団指導と個別指導の使い分けの原則を、具体的な臨床場面で判断できるかを問う問題です。
111回
-
看護過程の評価段階
看護過程の「評価」段階で何を評価するかを問う基本問題で、評価対象が「看護師」ではなく「患者の目標達成度」であ…
111回
-
看護過程の情報収集、いつどう集める?
看護過程における情報収集の位置づけと質問技法の使い分けを理解しているかが問われています。
110回