術後1日目の痛みと早期離床のジレンマ
看護師国家試験 第104回 午後 第92問(状況設定問題)
国試問題にチャレンジ
状況設定
Aさん(45歳、男性)は、便に血液が混じっていたため受診した。検査の結果、直腸癌(rectal cancer)と診断され、自律神経を部分温存する低位前方切除術が予定されている。
術後1日。順調に経過し、Aさんは離床が可能になった。腹腔内にドレーンが1本留置され、術後の痛みに対しては、硬膜外チューブから持続的に鎮痛薬が投与されている。看護師がAさんに痛みの状態を尋ねると、Aさんは「まだ傷が痛いし、今日は歩けそうにありません」と話す。 このときの対応で最も適切なのはどれか。
- 1.体動時に痛む場合は歩行しなくてよいと説明する。
- 2.歩行には看護師が付き添うことを提案する。
- 3.歩行練習を1日延期することを提案する。
- 4.鎮痛薬の追加使用を提案し歩行を促す。
対話形式の解説
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラPOINT
術後早期離床を妨げる疼痛に対し、鎮痛コントロールを優先する判断ができるかを問う問題です。
解答・解説
正解は4です
問題文:術後1日。順調に経過し、Aさんは離床が可能になった。腹腔内にドレーンが1本留置され、術後の痛みに対しては、硬膜外チューブから持続的に鎮痛薬が投与されている。看護師がAさんに痛みの状態を尋ねると、Aさんは「まだ傷が痛いし、今日は歩けそうにありません」と話す。 このときの対応で最も適切なのはどれか。
解説:正解は4の「鎮痛薬の追加使用を提案し歩行を促す」です。術後1日目で離床許可が出ているAさんに対しては、創部痛を理由に離床を遅らせるのではなく、硬膜外鎮痛のレスキュー投与で疼痛をコントロールしながら早期離床を促すことが、腸蠕動の回復・肺合併症予防・深部静脈血栓症予防の観点で最も適切です。
選択肢考察
- ×1. 体動時に痛む場合は歩行しなくてよいと説明する。
歩行を行わない選択は早期離床の目的に反し、無気肺・腸閉塞・血栓症のリスクを高めるため不適切です。
- ×2. 歩行には看護師が付き添うことを提案する。
Aさんが訴えているのは疼痛そのものであり、付き添うだけでは痛みは軽減せず根本的な解決にはなりません。
- ×3. 歩行練習を1日延期することを提案する。
1日延期しても痛みが消える保証はなく、廃用性筋力低下や術後合併症リスクが増すため不適切です。
- ○4. 鎮痛薬の追加使用を提案し歩行を促す。
硬膜外チューブはレスキューボーラスや投与量調整が可能であり、医師に報告して追加投与を行えば疼痛軽減が見込めます。痛みを取り除いた上で歩行を促すことが術後早期回復の原則です。
ERAS(術後回復強化)プロトコルでは術後第1病日からの離床が推奨されており、疼痛・嘔気・点滴ラインといった離床阻害因子を取り除くことが看護師の役割です。NRSやVASで疼痛評価を行い、PCAボタンの使用方法を再指導することも有効です。
術後早期離床を妨げる疼痛に対し、鎮痛コントロールを優先する判断ができるかを問う問題です。
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