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肺気腫で増加する肺機能指標を病態から読み解く

看護師国家試験 第113午前94(状況設定問題)

国試問題にチャレンジ

113午前94

状況設定

Aさん(57歳、男性)は、妻(50歳)と2人で暮らしている。21歳から喫煙習慣があり、5年前に風邪で受診した際に肺気腫(pulmonary emphysema)と診断された。最近は坂道や階段を昇ると息切れを自覚するようになってきた。

Aさんの呼吸機能に関する数値で増加を示すのはどれか。

  1. 1.1秒率
  2. 2.残気量
  3. 3.1回換気量
  4. 4.動脈血酸素分圧<PaO 2 >(room air)

対話形式の解説

博士博士
Aさんは57歳、喫煙歴36年の肺気腫患者じゃ。この方で『増加』を示す呼吸機能指標はどれか分かるかの?
サクラサクラ
選択肢は1秒率、残気量、1回換気量、PaO2の4つですね。
博士博士
まず肺気腫の基本病態を押さえよう。肺胞壁が壊れ、肺の弾性収縮力が失われるのが要点じゃ。
サクラサクラ
ゴム風船がへたって縮まなくなるイメージですか?
博士博士
そのとおりじゃ。縮む力が弱いと、呼気時に空気を押し出せず肺内に残ってしまう。
サクラサクラ
ということは、残気量が増えるんですね。
博士博士
正解じゃ。残気量・機能的残気量・全肺気量がそろって増加するのが過膨張の特徴じゃ。
サクラサクラ
1秒率はどうなりますか?
博士博士
末梢気道が狭窄するため気流制限が生じ、1秒率は70%未満に低下する。これがCOPD診断の基準じゃな。
サクラサクラ
1回換気量は?
博士博士
横隔膜が平低化して呼吸筋が不利な位置に置かれるため、換気効率が落ちて1回換気量は減少傾向じゃ。
サクラサクラ
PaO2はガス交換障害で下がりますよね。
博士博士
そのとおり。進行するとPaCO2は上昇しII型呼吸不全になる。胸部X線では滴状心や肋間腔拡大が見られるぞ。
サクラサクラ
増えるのは残気量系、減るのは換気量・酸素・1秒率、と整理できました。

POINT

COPD(肺気腫)における肺機能検査値の増減パターンを理解しているかを問う設問です。肺の過膨張という病態から各指標の動きを説明できるかがポイントです。

解答・解説

正解は2です

問題文:Aさんの呼吸機能に関する数値で増加を示すのはどれか。

解説:正解は2の残気量です。肺気腫では肺胞壁の破壊とともに肺の弾性収縮力が失われ、呼気の際に空気を押し出す力が弱くなります。その結果、呼出後も肺内に空気が残ってしまい、残気量や機能的残気量、全肺気量が増加するのが特徴です。Aさんは36年にわたる長期喫煙歴があり、典型的なCOPD像を呈していると考えられます。

選択肢考察

  1. ×1.  1秒率

    1秒率(FEV1/FVC)は閉塞性換気障害で低下します。肺気腫では末梢気道の狭窄と肺胞の虚脱により気流制限が生じ、通常70%未満まで低下することでCOPDと診断されます。

  2. 2.  残気量

    正解です。肺の弾性収縮力の低下により呼気終末に肺内へ空気が取り残され、残気量・機能的残気量・全肺気量がいずれも増加します。胸郭がビア樽状に変形するのもこの過膨張が原因です。

  3. ×3.  1回換気量

    肺気腫では肺が過膨張した状態になり横隔膜が平低化するため、換気効率が低下して1回換気量はむしろ減少傾向となります。呼吸数を増やして分時換気量を維持しようとします。

  4. ×4.  動脈血酸素分圧<PaO 2 >(room air)

    肺胞破壊による拡散障害と換気血流不均衡のため、PaO2は低下します。進行例では高二酸化炭素血症(PaCO2上昇)も合併し、II型呼吸不全に至ります。

COPDで増加する指標は残気量・残気率・全肺気量・静肺コンプライアンス・PaCO2(進行期)で、低下する指標は1秒量・1秒率・%肺活量・PaO2・拡散能(DLCO)と整理して覚えると混乱しません。胸部X線では横隔膜の平低化や肋間腔の拡大、滴状心が特徴です。

COPD(肺気腫)における肺機能検査値の増減パターンを理解しているかを問う設問です。肺の過膨張という病態から各指標の動きを説明できるかがポイントです。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。