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COPD急性増悪後の日常生活動作で呼吸負荷が最も小さいのは?

看護師国家試験 第113午前95(状況設定問題)

国試問題にチャレンジ

113午前95

状況設定

Aさん(57歳、男性)は、妻(50歳)と2人で暮らしている。21歳から喫煙習慣があり、5年前に風邪で受診した際に肺気腫(pulmonary emphysema)と診断された。最近は坂道や階段を昇ると息切れを自覚するようになってきた。

Aさんは発熱、咳嗽、粘稠痰、呼吸困難を認めたため受診し、肺炎(pneumonia)を伴う慢性閉塞性肺疾患<COPD::chronic obstructive pulmonary disease>の急性増悪と診断されて入院した。入院後、薬物療法によって病状は改善し退院が決定した。看護師がAさんに退院後の生活について尋ねると、今回の入院をきっかけにAさんは退職し、家事に専念すると答えた。 Aさんの呼吸機能に対する負荷が最も小さい動作はどれか。

  1. 1.食べる直前に調理する。
  2. 2.部屋全体に掃除機をかける。
  3. 3.頭より高い位置に洗濯物を干す。
  4. 4.買い物した荷物をカートで運ぶ。

対話形式の解説

博士博士
Aさんは肺炎を伴うCOPD急性増悪から回復し、退職して家事に専念するそうじゃ。最も負荷の軽い動作を選ぼう。
サクラサクラ
食べる直前の調理、部屋全体の掃除機、頭上での洗濯干し、カートでの荷物運搬ですね。
博士博士
COPD患者の動作で避けたい4つを覚えておるか?
サクラサクラ
上げない、かがまない、急がない、息を止めない、でしたよね。
博士博士
そのとおり。では頭より高い位置に洗濯物を干すのはどうじゃ?
サクラサクラ
上肢を挙上するので呼吸補助筋が使えなくなり、息切れが強くなりますね。
博士博士
よくできた。掃除機は?
サクラサクラ
前屈と反復動作の組み合わせで、ホコリの刺激もあるので負荷が大きいです。
博士博士
食べる直前の調理は?
サクラサクラ
時間に追われて急ぐため呼吸が乱れやすく、食前に疲弊して食事量も減ってしまいます。
博士博士
残るカート運搬はどうじゃ?
サクラサクラ
荷物を持ち上げず、上肢は下垂位のまま、自分のペースで歩けます。口すぼめ呼吸とも同調しやすいですね。
博士博士
そのとおり。4つの中で負荷が最も軽いのはカートじゃ。
サクラサクラ
物干し竿の位置を下げたり、調理を作り置きにするなど環境調整も大事ですね。
博士博士
呼吸リハビリと栄養管理、禁煙継続もセットで指導しよう。

POINT

COPD患者の日常生活動作における呼吸仕事量の大小を評価できるかを問う設問です。上肢挙上や前屈姿勢が呼吸を妨げるという生理学的根拠を理解することが鍵となります。

解答・解説

正解は4です

問題文:Aさんは発熱、咳嗽、粘稠痰、呼吸困難を認めたため受診し、肺炎(pneumonia)を伴う慢性閉塞性肺疾患<COPD::chronic obstructive pulmonary disease>の急性増悪と診断されて入院した。入院後、薬物療法によって病状は改善し退院が決定した。看護師がAさんに退院後の生活について尋ねると、今回の入院をきっかけにAさんは退職し、家事に専念すると答えた。 Aさんの呼吸機能に対する負荷が最も小さい動作はどれか。

解説:正解は4の「買い物した荷物をカートで運ぶ」です。COPD患者では『上肢挙上』『前屈位』『反復動作』『息こらえ』を伴う動作が呼吸筋を圧迫し息切れを誘発します。カートを押す動作は荷物を抱える必要がなく上肢挙上も少ないため、呼吸機能への負担が最も軽い動作といえます。

選択肢考察

  1. ×1.  食べる直前に調理する。

    食事直前の調理は時間に追われ動作が急ぎがちで、加熱調理の熱気や湯気も気道刺激となります。立位を長時間保持すること自体もエネルギー消費が大きく、食前の疲労は食事摂取量の低下にもつながります。

  2. ×2.  部屋全体に掃除機をかける。

    掃除機がけは前屈姿勢と反復動作の連続で、ホコリによる気道刺激も加わります。広範囲を一気に行うと息切れを誘発しやすく、COPD患者では分割して行うか他者に依頼することが望ましい動作です。

  3. ×3.  頭より高い位置に洗濯物を干す。

    上肢を頭上に挙げる動作は呼吸補助筋である大胸筋や僧帽筋を固定して使うため、呼吸運動が妨げられ著しい息切れを生じます。物干し竿は肩より低い位置にするなどの工夫が必要です。

  4. 4.  買い物した荷物をカートで運ぶ。

    正解です。カートを押す動作は荷物を持ち上げる必要がなく、上肢を下垂位で保てるため呼吸筋への影響が少ない動作です。自分のペースで歩けるため口すぼめ呼吸と同調させやすい点でも適しています。

COPDの日常生活指導では『上げない・かがまない・急がない・止めない(息を)』の4原則を意識します。重い物を持つ、上体を前屈させる、反復動作、息こらえは全て避け、動作の前後に口すぼめ呼吸を行うとSpO2低下を予防できます。修正MRCスケールやBODE指数で重症度を評価し、動作指導のレベルを個別化することも大切です。

COPD患者の日常生活動作における呼吸仕事量の大小を評価できるかを問う設問です。上肢挙上や前屈姿勢が呼吸を妨げるという生理学的根拠を理解することが鍵となります。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。