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療育の扉を開くキーパーソンは誰だ?

看護師国家試験 第115午前108(状況設定問題)

国試問題にチャレンジ

115午前108

状況設定

Aちゃん(1歳9か月)は両親と保育所に通う姉のBちゃん(3歳)と4人で暮らしている。Aちゃんは重症の仮死で出生し、脳性麻痺と診断されている。食事、排泄、更衣は全介助である。食事はきざみ食を摂取しており、浣腸によって2日に1回排便がある。Aちゃんは全身の筋緊張が強く、肘関節と手関節は屈曲し、両下肢が交差し伸展する姿勢が多い。声かけやタッチングで笑顔がみられるが、発語はない。 Aちゃんは月2回の外来受診をしており、受診の際に母親が看護師に「Aは食欲がありますが、時々むせてしまいます。日中は機嫌よく過ごすことが多いのですが、手足を突っ張らせて背を反り返ることがあり、夜眠らないことが時々あります」と話している。

Aちゃんは2歳2か月になった。現在まで療育は受けていない。母親は、訪問看護師に「Aの発達を促すような場所に通いたいのですが、誰に聞くと紹介してくれるでしょうか」と質問した。 訪問看護師がAちゃんの母親に紹介する者として最も適切なのはどれか。

  1. 1.民生委員
  2. 2.相談支援専門員
  3. 3.地域の保育所の保育士
  4. 4.訪問診療をしている医師

対話形式の解説

博士博士
さて今日はAちゃん2歳2か月の事例じゃ。お母さんが『発達を促す場所に通いたい、誰に聞けばいいの?』と訪問看護師に尋ねておるぞ。
サクラサクラ
えっと…保育所の先生かなと思ったんですけど、Aちゃんって脳性麻痺で全介助ですよね?普通の保育所では難しい気がします。
博士博士
鋭いの。Aちゃんに必要なのは『療育』、つまり児童発達支援などの専門的なサービスじゃ。これを利用するには制度上の手続きが必要なんじゃよ。
サクラサクラ
制度的な手続き?申請みたいなことですか?
博士博士
その通り。市区町村に申請して『障害児支援利用計画』を作ってもらう必要がある。そして、この計画を作成し事業所と調整するのが相談支援専門員なんじゃ。
サクラサクラ
なるほど!じゃあ正解は2番の相談支援専門員ですね。
博士博士
正解じゃ。では他の選択肢も見ていこう。1番の民生委員は地域住民の見守りや生活相談を担うボランティアで、行政の橋渡し役にはなるが、療育サービスを制度的に調整する専門職ではないのじゃ。
サクラサクラ
地域の頼れる存在ではあるけど、療育の窓口ではないんですね。
博士博士
3番の保育所の保育士も、発達支援に関わる専門職ではあるが、重症児への療育サービスを正式に繋ぐ立場ではない。情報を聞ける相手にはなるが、最適解ではないのう。
サクラサクラ
4番の訪問診療医はどうですか?医師って一番頼れそうな気もしますが…。
博士博士
医師は医学的管理や意見書の作成で関わるが、サービス等利用計画の作成や事業所調整は医師の業務外じゃ。診療と制度調整は別の役割なんじゃよ。
サクラサクラ
わかりました!療育につなぐ専門家=相談支援専門員、と覚えます。
博士博士
その理解でよい。家族が迷ったら、まず市区町村の障害福祉担当窓口か保健センターに連絡すれば、相談支援事業所を紹介してもらえると伝えるとよいぞ。
サクラサクラ
在宅で頑張るご家族にとって、こうした窓口を知っているかどうかで生活が大きく変わりますね。
博士博士
その通り。看護師は『つなぐ』役割を持つ。制度を知り、適切な専門職にリレーすることが家族の力になるのじゃ。

POINT

障害児を療育サービスへつなぐ制度上のキーパーソンは「相談支援専門員」であり、サービス等利用計画の作成と社会資源の調整を担う点を押さえる。

解答・解説

正解は2です

問題文:Aちゃんは2歳2か月になった。現在まで療育は受けていない。母親は、訪問看護師に「Aの発達を促すような場所に通いたいのですが、誰に聞くと紹介してくれるでしょうか」と質問した。 訪問看護師がAちゃんの母親に紹介する者として最も適切なのはどれか。

解説:正解は 2 の「相談支援専門員」です。障害のある児童が児童発達支援などの療育サービスを利用するには「障害児支援利用計画」の作成が必要であり、その計画作成と地域の社会資源との調整を一手に担う専門職が相談支援専門員です。母親の「発達を促す場所に通いたい」というニーズに最も的確に応えられる窓口となります。

選択肢考察

  1. ×1.  民生委員

    民生委員は厚生労働大臣から委嘱を受け、地域住民の生活相談や見守り、行政との橋渡しを行うボランティアです。生活困窮や孤立への支援には強みがありますが、障害児の療育サービスを制度的にコーディネートする専門職ではないため、療育の紹介窓口としては適切ではありません。

  2. 2.  相談支援専門員

    相談支援専門員は障害者総合支援法・児童福祉法に基づき、障害児支援利用計画を作成し、児童発達支援や医療型児童発達支援などの療育サービスへつなぐ役割を担います。家族のニーズや児の状態をアセスメントして適切な事業所と結びつけることができるため、Aちゃん家族への紹介先として最も適切です。

  3. ×3.  地域の保育所の保育士

    保育士は乳幼児の保育や発達支援の専門職ですが、医療的ケアや重度の脳性麻痺がある児に対する療育サービスの制度的調整を行う立場にはありません。情報提供を受けられる可能性はあっても、療育機関へ繋ぐ正式な窓口とは言えず、最適解ではありません。

  4. ×4.  訪問診療をしている医師

    訪問診療医は医学的管理や意見書の作成を通じて療育サービス利用を後押ししますが、サービス等利用計画の作成や事業所との調整は医師の業務ではありません。療育サービスへつなぐ専門的役割は相談支援専門員が担うため、第一に紹介する相手としては適切ではありません。

障害児が児童発達支援・放課後等デイサービス等を利用する際は、市区町村への申請とサービス等利用計画(障害児支援利用計画)の提出が必要で、これを作成するのが指定特定相談支援事業所・指定障害児相談支援事業所に配置された相談支援専門員です。相談先がわからない家族には、まず市区町村の障害福祉担当窓口や保健センターに問い合わせると、地域の相談支援事業所を紹介してもらえます。重症心身障害児では医療型児童発達支援センターの利用も視野に入ります。

障害児を療育サービスへつなぐ制度上のキーパーソンは「相談支援専門員」であり、サービス等利用計画の作成と社会資源の調整を担う点を押さえる。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。