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きょうだい児に向き合う時間をどう作る?訪問看護の使い方を見直そう

看護師国家試験 第115午前107(状況設定問題)

国試問題にチャレンジ

115午前107

状況設定

Aちゃん(1歳9か月)は両親と保育所に通う姉のBちゃん(3歳)と4人で暮らしている。Aちゃんは重症の仮死で出生し、脳性麻痺と診断されている。食事、排泄、更衣は全介助である。食事はきざみ食を摂取しており、浣腸によって2日に1回排便がある。Aちゃんは全身の筋緊張が強く、肘関節と手関節は屈曲し、両下肢が交差し伸展する姿勢が多い。声かけやタッチングで笑顔がみられるが、発語はない。 Aちゃんは月2回の外来受診をしており、受診の際に母親が看護師に「Aは食欲がありますが、時々むせてしまいます。日中は機嫌よく過ごすことが多いのですが、手足を突っ張らせて背を反り返ることがあり、夜眠らないことが時々あります」と話している。

母親は外来看護師に「姉のBは最近、私に甘えて傍を離れません。Aの世話でBに関わる時間が少ないので、短時間でもBとだけじっくり関われるようにしたいです」と話した。父親は会社員で夜の帰りが遅い。父親がBちゃんを保育所へ送り、母親がAちゃんを連れて迎えに行く。両親は、Aちゃんの育児をできるだけ在宅で行いたいと思っており、訪問看護を週1回1時間利用している。 このときの外来看護師の母親への返答で最も適切なのはどれか。

  1. 1.「BちゃんにAちゃんの状況を説明しましょう」
  2. 2.「お父さんに保育所のお迎えもしてもらいましょう」
  3. 3.「Bちゃんを預かるファミリーサポートを利用しましょう」
  4. 4.「訪問看護の時間をBちゃんのお迎えの時間にできるか相談してみましょう」

対話形式の解説

博士博士
今回はAちゃんという脳性麻痺の1歳9か月のお子さんの在宅育児のお話じゃ。お姉ちゃんのBちゃんが3歳で、最近お母さんから離れずに甘えてしまうそうなのじゃ。
サクラサクラ
ああ、いわゆる『きょうだい児』の問題ですね。お母さんはBちゃんとだけ二人でじっくり関わる時間が欲しいって言っているんですよね。
博士博士
その通り。家庭状況を整理すると、父親は会社員で夜の帰りが遅い、父親が朝Bちゃんを保育所に送り、母親がAちゃんを連れてお迎えに行く。そして訪問看護を週1回1時間利用しておる。さて、看護師としてどう返答するか?
サクラサクラ
選択肢は4つありますね。1番がBちゃんに状況を説明、2番がお父さんにお迎えもしてもらう、3番がファミリーサポートでBちゃんを預かってもらう、4番が訪問看護の時間をBちゃんのお迎え時間に合わせる、ですね。
博士博士
正解は4じゃ。訪問看護を利用している1時間をお迎えの時間に合わせれば、Aちゃんは看護師に見守ってもらえて、お母さんはBちゃんを迎えに行く道中も帰宅後も二人だけで過ごせる。既存の資源を調整するだけで母親のニーズに直接応えられる、最も具体的で現実的な提案なのじゃ。
サクラサクラ
なるほど!では1番のBちゃんへの説明はどうしてダメなんですか?きょうだい児支援として大事だと習った気がします。
博士博士
いい質問じゃ。Bちゃんに年齢に応じた説明をすることは確かにきょうだい支援として重要じゃ。しかし、それでは『二人で関わる時間』そのものは生まれない。今回の母親のニーズは時間の確保なので、ズレがあるのじゃ。
サクラサクラ
2番のお父さんにお迎えもお願いするのは?
博士博士
父親は会社員で夜の帰りが遅いと明記されておるな。保育所のお迎え時間に間に合うのは現実的に難しい。実行可能性が低い助言は適切ではないのじゃ。
サクラサクラ
3番のファミリーサポートでBちゃんを預けるのはどうですか?
博士博士
ここがひっかけポイントじゃ。お母さんは『Bちゃんを預けて自分の時間が欲しい』のではなく『Bちゃんと一緒に過ごす時間が欲しい』と言っておる。Bちゃんを預けてしまっては母子の関わりは増えず、ニーズと逆方向になってしまうのじゃ。
サクラサクラ
あー、確かに!読み違えると正解にしてしまいそうですね。預けるのはAちゃんの方であって、Bちゃんではないんですね。
博士博士
その通りじゃ。家族支援の鉄則は『誰のために、何の時間を、どう確保するか』を丁寧に読むこと。そして新しいサービスを足す前に、既存サービスの『使い方の調整』で解決できないか検討するのも重要な視点じゃ。
サクラサクラ
とても勉強になりました。きょうだい児支援=説明や預かり、と短絡的に結びつけない方がいいんですね。
博士博士
うむ。家族の言葉を丁寧に聴き、ニーズと選択肢の方向性を照らし合わせるのが看護師の腕の見せどころじゃぞ。

POINT

在宅で重症児を育てる家庭のきょうだい支援では、まず既存の社会資源(ここでは訪問看護)の使い方を家族のニーズに合わせて調整し、母親がきょうだいと関われる時間を捻出することが現実的で優先される。

解答・解説

正解は4です

問題文:母親は外来看護師に「姉のBは最近、私に甘えて傍を離れません。Aの世話でBに関わる時間が少ないので、短時間でもBとだけじっくり関われるようにしたいです」と話した。父親は会社員で夜の帰りが遅い。父親がBちゃんを保育所へ送り、母親がAちゃんを連れて迎えに行く。両親は、Aちゃんの育児をできるだけ在宅で行いたいと思っており、訪問看護を週1回1時間利用している。 このときの外来看護師の母親への返答で最も適切なのはどれか。

解説:正解は4です。母親は「Bちゃんと二人だけでじっくり関わる時間がほしい」というニーズを訴えています。すでに利用している訪問看護(週1回1時間)の時間帯をBちゃんの保育所お迎えの時間に合わせて調整できれば、Aちゃんを訪問看護師に任せている間に母親はBちゃんと二人きりで過ごす時間を確保できます。新たなサービスを増やすのではなく、既存資源の使い方を見直すことで家族の希望に直接応える、現実的かつ具体的な提案です。

選択肢考察

  1. ×1.  「BちゃんにAちゃんの状況を説明しましょう」

    3歳のBちゃんに病気のきょうだいの状況を伝えることはきょうだい支援として大切な視点ですが、母親が求めているのは「Bと二人で過ごす時間の確保」です。説明だけでは時間そのものは生まれず、母親のニーズに直接応える助言とは言えません。

  2. ×2.  「お父さんに保育所のお迎えもしてもらいましょう」

    父親は会社員で夜の帰りが遅いと明記されています。保育所のお迎え時間に間に合うことは現実的でなく、家族役割を一方的に父親に押し付ける提案にもなりかねません。実行可能性が低く適切ではありません。

  3. ×3.  「Bちゃんを預かるファミリーサポートを利用しましょう」

    ファミリーサポートは選択肢として有用ですが、母親が望んでいるのは「Bちゃんを預けて自分の時間を作る」のではなく「Bちゃんと二人で関わる時間を作る」ことです。Bちゃんを預けては母子の関わりが減ってしまい、ニーズとは方向が逆になります。

  4. 4.  「訪問看護の時間をBちゃんのお迎えの時間にできるか相談してみましょう」

    週1回1時間の訪問看護をBちゃんの保育所お迎えの時間帯に合わせれば、その間Aちゃんは訪問看護師に見守ってもらえ、母親はBちゃんを迎えに行く道中や帰宅後の短時間を二人だけで過ごせます。既存資源の調整で家族のニーズに具体的に応える最も適切な提案です。

脳性麻痺など医療的ケア・重度の介助を要する子どもがいる家庭では、健常なきょうだい(シブリング)が我慢を強いられたり親の関心を得にくくなったりする「きょうだい児問題」が生じやすく、退行・分離不安・甘え行動として表面化することがあります。Bちゃんが母親から離れず甘えるのは典型的なサインです。支援の基本は、(1)きょうだいだけの時間(special time)を意図的に確保する、(2)家族のレスパイトを兼ねて短時間ケアを組み込む、(3)きょうだいに病気や障害を年齢に応じて説明する、(4)きょうだいの会など同じ立場の仲間と繋ぐ、などが挙げられます。新規サービス導入の前に、既存の社会資源(訪問看護・短期入所・居宅介護・障害児通所支援等)の時間帯や内容を家族の生活リズムに合わせて再調整するという視点は、在宅育児支援で非常に重要です。

在宅で重症児を育てる家庭のきょうだい支援では、まず既存の社会資源(ここでは訪問看護)の使い方を家族のニーズに合わせて調整し、母親がきょうだいと関われる時間を捻出することが現実的で優先される。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。