褥瘡と廃用症候群の予防
基礎看護学 / 清潔・療養環境
解説
今回は褥瘡と廃用症候群の予防について解説します。寝たきりや車椅子生活など活動性が低下した状態が続くと、皮膚には褥瘡が、全身には廃用症候群が生じます。どちらも予防可能な合併症であり、看護師の観察と早期介入が患者の予後を大きく左右します。
褥瘡とは
褥瘡とは、身体に加わった外力(圧迫・摩擦・ずれ)によって皮膚や皮下組織の血流が途絶し、組織が壊死する状態をいいます。骨と寝具・椅子に挟まれた部位に発生しやすく、特に骨が突出している部分に好発します。
体位別の好発部位
仰臥位では仙骨部、踵骨部、肩甲骨部、後頭部、肘頭部に発生します。なかでも仙骨部と踵骨部が二大好発部位です。側臥位では耳介部、肩峰突起、肋骨部、腸骨稜、大転子部、外果に生じます。腹臥位では前額部、頬骨部、肩峰部、腸骨稜、膝蓋部、足趾に発生します。車椅子座位では坐骨結節部が最も生じやすく、尾骨部や肩甲骨部にも注意が必要です。座位は接触面積が狭く、自重が一点に集中するため短時間でも褥瘡が形成されます。
褥瘡の評価
発生を予測する代表的なツールがBradenスケールです。評価項目は知覚の認知、湿潤、活動性、可動性、栄養状態、摩擦とずれの6項目で、各項目1〜4点(摩擦とずれのみ1〜3点)、合計6〜23点で評価します。点数が低いほどリスクが高く、日本では14点以下で発生リスクが高いとされ、在宅では17点以下が基準となります。このほか、自立度・病的骨突出・関節拘縮・浮腫を評価するOHスケール、K式スケールも用いられます。
発生後の重症度評価にはDESIGN-R®2020が使用され、深さ(Depth)、滲出液(Exudate)、大きさ(Size)、炎症・感染(Inflammation)、肉芽組織(Granulation)、壊死組織(Necrotic tissue)、ポケット(Pocket)の7項目で評価します。深達度分類では、ステージⅠが消退しない発赤、ステージⅡが水疱・びらん・浅い潰瘍などの真皮までの部分層欠損、ステージⅢが皮下組織に達する全層欠損、ステージⅣが筋・腱・骨に達する損傷とされます。
褥瘡予防の4本柱
予防の基本は除圧、皮膚観察、栄養管理、スキンケアの4本柱です。除圧では2時間ごとを目安とした体位変換と、エアマットレスやウレタンフォームなどの体圧分散寝具を用います。エアマットレスは体圧を分散して褥瘡を予防する目的で使用しますが、沈み込みが強いと体位変換や端座位移乗が困難となりADL低下を招くため、患者の活動性に応じた選択が必要です。
車椅子使用者では股関節・膝関節・足関節を各90度に保つ90度ルールを守り、15分ごとにプッシュアップや前傾姿勢で除圧を行います。皮膚観察は発赤の有無を毎日確認し、栄養管理ではアルブミン値や食事摂取量を評価して低栄養を是正します。スキンケアでは失禁や発汗による湿潤を避け、皮膚を清潔に保ちます。
廃用症候群とは
廃用症候群とは、不活動状態が持続することで生じる二次的な心身機能の低下の総称です。安静臥床では週に10〜15%の筋力低下が起こるとされます。症状は運動器に筋萎縮・関節拘縮・骨粗鬆症、循環器に起立性低血圧・心機能低下・深部静脈血栓症、呼吸器に沈下性肺炎・誤嚥性肺炎、消化器に食欲不振・便秘、泌尿器に尿路感染・尿失禁、皮膚に褥瘡、精神面に抑うつ・認知機能低下・せん妄を呈します。
廃用症候群の予防
予防の原則は早期離床です。急性期からベッド上での関節可動域訓練を行い、座位・立位・歩行と段階的に進めます。多職種連携として、医師が診断と処方、看護師が観察と体位変換、皮膚・排泄ケア認定看護師が処置計画、理学療法士が体位や動作訓練、作業療法士が福祉用具選定、管理栄養士が栄養管理、薬剤師が薬剤情報を担います。看護師は理学療法士と協働してクッション選定や除圧動作の指導、座位時間の調整を行います。
まとめ
褥瘡と廃用症候群は、いずれも不活動が原因となる予防可能な合併症です。褥瘡は体位別の好発部位を把握し、Bradenスケールでリスクを評価したうえで、除圧・皮膚観察・栄養管理・スキンケアを徹底することが重要です。廃用症候群は安静臥床により全身に多彩な症状を引き起こすため、早期離床と多職種連携による包括的なアプローチが求められます。看護師はベッドサイドで最も長く患者に関わる職種として、これらの予防の中心的役割を担います。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
褥瘡発生の予測に用いる代表的な評価スケールはである。
- 2.
Bradenスケールは6項目で評価し、合計点は最低6点から最高点である。
- 3.
褥瘡発生後の重症度評価にはが用いられる。
- 4.
車椅子座位で長時間過ごす際に最も褥瘡が発生しやすい部位はである。
- 5.
仰臥位で仙骨部と並んで褥瘡の好発部位となるのはである。
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側臥位における褥瘡の代表的な好発部位としてがある。
- 7.
褥瘡の深達度分類で水疱・びらんなど真皮に及ぶ部分層欠損はステージである。
- 8.
エアマットレスの使用目的はによる褥瘡予防である。
- 9.
不活動状態が持続することで筋萎縮・関節拘縮・起立性低血圧などを呈する病態をという。
- 10.
車椅子使用者では分に1回程度プッシュアップや座り直しで除圧を行うよう指導する。
「褥瘡と廃用症候群の予防」の過去問演習
側臥位の褥瘡好発部位を押さえよう
第113回 午後 第24問
寝たきりで起こる全身の機能低下『廃用症候群』を理解する
第112回 午後 第19問
褥瘡深達度分類を視覚的にイメージしよう
第111回 午後 第24問
エアマットレスは何のために使うのか
第110回 午後 第36問
褥瘡ケアの多職種連携
第110回 午後 第70問
仰臥位の褥瘡は仙骨と踵!体位別好発部位を整理
第109回 午後 第24問
ブレーデンスケール6項目 褥瘡予防の出発点
第109回 午後 第45問
仙骨部発赤と褥瘡予防の在宅指導
第108回 午前 第72問
スケール大集合!褥瘡予測のブレーデンスケール
第107回 午前 第24問
車椅子座位と褥瘡好発部位
第107回 午前 第76問
