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検査の種類と前処置

基礎看護学 / 医療安全・その他

解説

検査の種類と前処置とは、目的に応じた検査の選択と、安全かつ正確な結果を得るための事前準備のことです。看護師は検査の特徴を理解し、患者に説明・指導し、合併症を予防する役割を担います。

検査の分類

検査は大きく生体検査(生理機能検査)検体検査に分けられます。生体検査は患者の身体から直接情報を得るもので、心電図、脳波、筋電図、呼吸機能検査、超音波検査、聴力検査、眼底検査などが含まれます。検体検査は血液・尿・便・組織などを採取して分析する検査です。

画像検査と前処置

立位腹部単純X線

腸閉塞(イレウス)の代表的所見が**鏡面像(ニボー像)**で、腸管内のガスと液体が水平な境界面として描出されます。腸閉塞は癒着・腫瘍・ヘルニア嵌頓などによる機械的イレウスと、麻痺性・痙攣性の機能的イレウスに分けられ、絞扼性は緊急手術の適応となります。

MRI検査

MRIはX線被曝がなく、強磁場とラジオ波を用います。**磁性体(鉄・ニッケル・コバルト)**の持ち込みは厳禁で、磁気カード、電子機器、補聴器、ヘアピン、ピアス、時計、金属を含む湿布、ニトロダーム等の貼付剤も外す必要があります。ペースメーカー、植込み型除細動器、人工内耳、古い脳動脈瘤クリップは禁忌です。耳栓は非磁性体であれば持ち込み可能です。単純頭部MRIは絶食不要ですが、造影MRIや腹部・骨盤MRIでは絶食とします。ガドリニウム造影剤はeGFR<30でNSF(腎性全身性線維症)のリスクがあります。

超音波(エコー)検査

超音波検査は対象臓器によって前処置が異なります。膀胱超音波では膀胱を十分に拡張させて観察する必要があるため、検査前は排尿を我慢して尿をためた状態で行います。胆嚢超音波では食事により胆嚢が収縮すると観察できなくなるため、収縮を避ける目的で絶食で実施します。心エコーはベッド上で行い、仰臥位や左側臥位で胸壁から心臓を観察します。いずれの超音波検査もX線被曝がなく、繰り返し実施しやすい検査です。

ヨード制限食

甲状腺シンチグラフィの前には海藻類・貝類・ヨード含有うがい薬などを約1週間制限します。バセドウ病に対するアイソトープ治療や、分化型甲状腺癌術後補助療法でも必須です。造影CTを行った後は、ヨードの影響が残るため核医学検査までに一定期間空けます。

内視鏡検査

上部消化管内視鏡(胃カメラ)

体位は左側臥位で、前日21時以降は絶食(少量の飲水は可)とします。前投薬として消泡剤(ジメチコン)、粘液除去剤(プロナーゼ)、咽頭麻酔(キシロカイン)、鎮痙薬を用います。鎮痙薬のブスコパンは緑内障・前立腺肥大症・心疾患では禁忌のため、グルカゴンに代替します。検査後は咽頭麻酔が切れるまで30分〜1時間は誤嚥予防のため飲食を控え、生検後は2時間程度禁飲食とします。鎮静薬使用時は当日の運転を禁止します。

血管造影・穿刺検査

脳血管造影

穿刺部より末梢側の動脈拍動・皮膚色・皮膚温・感覚・チアノーゼを定期的に観察します。検査後は穿刺側下肢を伸展固定し安静を保ちます。合併症には造影剤アレルギー・腎症、穿刺部血腫、仮性動脈瘤、動脈解離、脳梗塞があります。造影剤使用後はメトホルミンを48時間休薬します。

骨髄穿刺(マルク)

成人では後腸骨稜(上後腸骨棘)が第一選択です。後腸骨稜から穿刺する際の体位は、穿刺部位を上向きに露出させるため腹臥位(または側臥位)とします。胸骨第2肋間は代替部位ですが、心臓・大血管が近く危険を伴い、その際は仰臥位で行います。局所麻酔は骨膜まで効きますが、骨髄液吸引時には強い痛みが生じます。検査後は30分〜1時間安静とします。

脊髄造影(ミエログラフィー)

くも膜下腔に水溶性造影剤を注入する検査で、合併症として**低髄液圧性頭痛(硬膜穿刺後頭痛)**が起こることがあります。立位で増悪し臥位で軽減するのが特徴です。検査後は頭部を15〜30度挙上してベッド上安静とし、水分摂取を促します。

穿刺部位の対応

腰椎穿刺はヤコビー線(第4腰椎の高さ)を目安に第3-4または第4-5腰椎間で行います。穿刺時の体位は側臥位(または座位)で、背中を丸めて膝を抱え込み、腰椎間を最大限に広げた姿勢(エビのように丸まる姿勢)をとってもらうことで、針の刺入を容易にし神経損傷を防ぎます。腹腔穿刺は臍と上前腸骨棘を結ぶ線の外側1/3点(マックバーニー点/逆マックバーニー点)、胸腔穿刺は中腋窩線第5-7肋間(胸水)または鎖骨中線第2-3肋間(気胸)で行い、骨髄穿刺は後腸骨稜が一般的です。

腹部アセスメントの順序

腹部の身体診察は視診→聴診→打診→触診の順で行います。打診や触診を先に行うと腸蠕動音が変化するため、聴診をこれらより先に実施するのが原則です。

確認問題(穴埋め)

空欄をタップすると答えが表示されます。

  1. 1.

    立位腹部X線で腸閉塞の代表的所見である鏡面像を像という。

  2. 2.

    上部消化管内視鏡検査時の体位はである。

  3. 3.

    甲状腺シンチグラフィの前には制限食を約1週間継続する。

  4. 4.

    MRI検査ではペースメーカーやを装着している患者は禁忌である。

  5. 5.

    MRI造影剤のガドリニウムはeGFR<30で(腎性全身性線維症)のリスクがある。

  6. 6.

    成人の骨髄穿刺の第一選択部位は(上後腸骨棘)である。

  7. 7.

    腰椎穿刺の目安となる第4腰椎の高さを示す線を線という。

  8. 8.

    脊髄造影後に生じる立位で増悪し臥位で軽減する頭痛を頭痛(硬膜穿刺後頭痛)という。

  9. 9.

    造影剤使用後はメトホルミンを時間休薬する。

  10. 10.

    腹部アセスメントは視診→→打診→触診の順で行う。

  11. 11.

    腰椎穿刺時は背中を丸めて膝を抱え込み腰椎間を広げた(または座位)で行う。

  12. 12.

    膀胱超音波検査では膀胱を十分に拡張させるため、検査前は(蓄尿しておく)。

  13. 13.

    胆嚢超音波検査では胆嚢の収縮を避けるため、検査前はとする。

  14. 14.

    後腸骨稜から骨髄穿刺を行う際の体位は(または側臥位)である。

検査の種類と前処置」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。